第五十四話「満足」
「一方的に信用を得ようなどとは思いません。まずは僕達の情報からお教えしましょう」
最初の部屋に戻ると、シャナノフさんはそう言って説明を始めた。
「僕の専門分野は、日本語で言う所の式陣です。とは言っても、恥ずかしながら自分で幻術の式を立てることも、使う事すらも出来ないのですが、、、。ミーセに協力してもらいながら何とか研究しております」
力無さげに笑う。
しかし、力が無いからと言って、立ち止まっている訳ではないようだ。
「式陣って?」
「幻術と関係ある物なんですか?」
「そう言えば教えてなかったっけそうだ基本教えただけで勝手に応用出来ちゃったからか」
まだ知らない事があったのか。
基本法則だけで満足しちゃってた感はあったかも。
「簡単に説明致しますと、式陣とは幻術を固定するための物です。今お見せしましょう」
シャナノフさんはスマホを取り出して画像を表示させる。
まさしく陣。
円の中にひたすら式が書かれている。
ただ、直接幻術の式を書いている訳ではなく、別の式を経由して圧縮しているようだ。
「主に式を立てた者以外が幻術を使用したり、時間差で発動させたりする際に使います。電力さえ供給出来れば継続使用も可能です」
海乃さんしか式を立てられないが、睦規さん、伊寄さん、時晴が幻術を使用する事が出来るのはこの式陣を使っているからだという事か。
「ワタシのパイルアップ・ドキュメントは複製と転移の式を使ってるんだよう」
物量まで変化させるって、、、幻術ってすげー。
「ちなみに、複製の式も原料は必要ですよ。同じように組み立てるだけです」
「「心を読まれた!?」」
ご冗談を、と言う感じで微笑む読心術者シャナノフさん。
「後でボクが教えてあげるよ」
「じゃあ、、、教わるけど」
ミーセの事を嫌いになりかけていたが、ここで関係をわざわざ悪くはしない。
「式陣はコンピュータなどにも使われている。おそらく枠円にも組み込まれているだろう」
ん?
という事は。
「時晴は式を立てられない」
「そぉーうだね」
「海乃さんに協力してもらう前から枠円はあった」
「そうらしいな」
「、、、海乃さんは時晴に式を立ててあげた事がありますか?」
「何回かあるよ何に使うかは聞いてないけど」
つまり。
「時晴は海乃さんを騙して枠円を作り、後付けで協力してもらっていた」
「言い方は良くないけどそんな感じかねぇ」
「ね、ね!さっきから言ってる時晴とか枠円って何の事?誰?」
聞いていたのかてめぇ。
「では、式陣の事は後でお教えするとして、次はそちらの情報をお聞かせ願いたい」




