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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
on truth

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第五十三話「対称的」

この演習場はさっきまでのシックな雰囲気とは違う、まさしく研究所みたいな白っぽい広い部屋だ。

その中にミーセが一人。

私達は外からガラス越しに見る。


「じゃー行くよー!」


的のような模様が壁に投影される。


「エレクトリックナイフ」


ミーセの手の中に電気のナイフが生み出される。


「開始します」


シャナノフさんの声と同時に、壁からゴム弾を発射する銃口がいくつも展開された。

すごい勢いで発射され、ミーセはそれを全て避ける。

しかも、避けながらナイフを手の中に生み出しては投げ、全発真ん中に刺す。

ナイフは刺さるとすぐに消え、重なる事は無い。


「すぅーごいねぇ」


伊寄さんも思わず息を飲む。


「幻術まで使えるのか」


二分くらいの銃撃が終わると、ミーセが戻って来る。


「どう?分かった?」


「すごいって事は分かったよ」


「でも、結局どういう幻覚なの?」


動作補助と言っていたが、さっきの動きのどこをどれだけ補助していたのか。


「動作補助によって最適な動きが出来るっていう力だよ。イメージ通りに身体が動くって事」


つまり、テキトーが適当になるという能力か。

だから動きながらでも完璧に的を狙えた。


「今度は二人の幻覚を見せてほしいな」


「「これ」」


精神共有も、目には見えないから伝えにくい。

だが、同時に喋ればこのすごさを分かってくれるかもしれない。


「「私達の精神共有はその名の通り二人の精神が共有されてる。二人で一人って感じ」」


「それ、、、要る?」


「うおぅ、殴っちゃいかんよ殴っちゃぁ」


「止めないで下さい伊寄さん!」


「こいつは言ってはならない事を言った!」


「でも二人分の頭脳があるから賢いし幻術も使えるよ」


どうだ、これはメリットだろう。


「ボクも幻術の式は立てられるし、ボクの方が賢いよ」


よし、やっぱり殴ろう。


「遠くにいても意思疎通が出来る」


これは貴様の動作補助にも出来ない事だろう?


「電話すれば良いんじゃないの?」


あう。

双子キャラじゃ銀髪ヒロインに勝ち目は無かったのか、、、。


「あーあぁ。崩れ落ちちゃったぁ」


「ごめんごめん。ボクは、あなたたちはかわいくて素敵だと思うなー。それだけあれば十分じゃない」


それだけって何だそれだけって。


「別に他にも勝ってる部分たくさんあるもん」


「幻覚以外なら勝てるもん」


低身長と高身長。

十六歳と十八歳。

私とボク。

二人で一人分以上と一人で二人分以上。

黒髪と銀髪。

ボブヘアーとロングヘアー。

薄い青の眼と濃い青の眼。

小さいのと大きいの、何がとは言わないが。

これだけでも対称的だ。

勝っている事にしよう。


「ところで賢いのも幻覚のおかげなのそれとも幻覚は関係無いの?」


「どっちもかな。動作補助のおかげで思考もまとまりやすいけど、遺伝も関係してるかも」


賢さは遺伝するのか。

賢くなるための環境は受け継がれていくのかもしれないが。


「ボク、お母さんは天才一族、島の血族の日本人なんだ。だからボクは日本人とロシア人のハーフ」


島の血族。

幻想科学を大成した島美香子など、数多くの天才を生み出してきた一族。

明治時代、島美香子の祖父からその天才ヒストリーは始まったと言われているが、島美香子の祖父については謎に包まれたままだ。

ミーセにその、島の遺伝子が組み込まれている。

生まれた時から天才になる事は決定されていたという事か。


「ミーセ。その事は喋るべき事ではありませんよ」


「良いの良いの。この人たちは信用出来ると思うし。大体、今さら知られても危険度は対して変わんないよ」


危険度?


「それでも警戒を怠ってはいけません。いつ誘拐や暗殺をされてもおかしくないのが分からないのですか?」


誘拐?

暗殺!?


「命狙われてるの!?」


「別に殺す以外にも、政治的に利用したり、売りさばいたりしようとする連中は星の数くらいいるけどねー。幻術を使えるようになったのも護身のためって感じ」


島の血族であるだけで、権力者や裏の世界の住人がこぞって欲しがるという噂は聞いた事がある。

本当だったのかな?


「まー、今のところ人は殺した事無いけどね」


「「あっても対応に困る」」

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