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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
on truth

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第四十七話「抵抗」

時晴の一撃は若草の意識を沈めた。

しかし、燃えてはいない。


「はぁ、はぁ、、、近くに俺のリュック置いてあるだろ?枠円を、断片を、かいしゅ、う、、、」


「「時晴!」」


力が抜けたように倒れてしまった。

とにかく、早く断片を回収しないと。

倉庫の入口付近に放り出されていた時晴のリュックから枠円を取り出す。

ポテトチップスの袋が一緒に入っているのは気になるが、今はそれどころでは無い。

ふらつきながらも若草と時晴の元へ。

電撃のトラップもいつの間にか無くなっている。


「いくよ」


枠円を若草の額に押し当てる。


「あ、う」


目を覚ま。


「「きゃう!?」」


「ああっ!どけ!アタシは、捕まらねェ、、、」


手を払って突き飛ばした。

まずい、時晴程ではないが私達もダメージを受けている。

立ち上がるが、追いつけない。

倉庫の重い扉の隙間を通って外へ。

逃げられちゃうよ。

仕方無いね、使おう。

百二十パーセント!


「待てっ!」


「逃げるなっ!」


いつもの一、二倍の力を使って、強引に身体を動かす。

これで相手よりは速くなった。

倉庫を出ると、若草は左の方に行っていた。

そこには小さな川と、橋。

この前もこんな事があった。

もう一度、何度でも、止める!


「負けは楽しくねェ。だから、、、」


「させない」


「楽な方になんか逃がさない」


若草の肩を掴む。


「自分で犯した罪は自分で償うのよ」


「そんな事も分からないようなら、何度でも殴って、罪の重さと、苦しさを味わってもらうから」


「でも、楽しむ断片じゃなくて、ただの若草利得ならそんな事しなくても分かってくれる」


きっと、身体のリミッターよりも先に心のリミッターが外れてしまったんだろう。

自殺よりも、逃げて仕切り直す方が絶対に良い。

もしかすると、止めて欲しかったのかもしれないね。


「終わりにしようよ」


「そうしたらまた始められるからね」


枠円を断片の、いや若草利得の背中に今度こそ。

もはや抵抗もしない。

歪みが直っていく。

もやは枠円の中に完全に吸い込まれた。

気を失った若草を背負って倉庫の中に一旦戻る。

時晴の意識も戻っているかもしれない。


「おーい」


「意識あるー?」


「無いー」


はいはい、あるって事で良いねー。


「若草から断片は取り除いておいたよ」


「どうするの?」


時晴はぶっ倒れたまま顔をこちらに向ける。


「近くに警察が来てるだろ?警官に、コードイマジンって伝えろ。詳しい事は言うな、コードイマジンだけで良い」


「、、、分かった」


「コードイマジンね」


きっと、幻視者や幻術が関わった事件の処理などの指示をするための暗号だろう。

フィリピンで行った特別部署に繋がっているのかもしれない。




「すみません」


「はい?」


「警察の人ですよね」


「そうですが、どうしました?」


「コードイマジン」


警察官は、ギョッとしたような顔をしたが、すぐに平静を装い直して言う。


「分かりました。すぐ手配します」


警察官は通信機で何か話し始める。

私達は帰ろうよ。

そうだね。




そして、時晴はボコボコにされている。

ダッシュスクーターで帰るのは無理そうだ。

私達もそれなりに殴られている。

痛い。

確か病院が近くにあったっけ。

若草は拘束もしていないが、回収されるまでなら必要無いだろう。


「さ、時晴。病院行くよ」


「今度は私達が運んであげるから」


強化の式は使わないが、力を振り絞って時晴を二人で起こす。

三人分のカバンを持ち、高身長の男性を背負って病院まで歩く。

大変だが、やらなきゃ怪我は治らない。


「「頑張れ私達」」

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