第三十六話「ぺたん」
追いかけないと、、、。
脚が動かない、、、。
そもそも、電話がかかってこなければあそこで捕まえられていたかもしれない。
「もしもし!」
「お、お。捕まえた?」
「時晴の電話が無ければ捕まえてましたぁ!」
「そりゃ悪かった、、、まぁ今海乃さんと睦規さんがダッシュスクーターで断片を追いかけてるから、任せておけば良いんじゃないか?」
はぁ。
じゃあそうしよっか。
ちょっと頑張りすぎたかも、、、。
「時晴は今なにしてるの?」
「今お前らの回収に向かってる。あ、見えた」
振り返ると通話中の時晴が。
ぺたんと路上に座り込む私達を見て通話を終了する。
「お前らフィリピンの人々から迷惑そうに見られてるぞ。立てるか?」
よく考えてみると、さっきのパンチや取り押さえの場面や逃げられた場面も、ちらほら見える現地人に目撃されてしまっている事になる。
これはもう仕方無い、仕方無い事として処理しよう。
「「立てもぉっ!?」」
「お前ら脚ガクガクだぞ!?俺が来なきゃどうするつもりだったんだ!?」
思ったより重症らしい。
二百パーセントはやり過ぎたか。
「ほら肩貸すから」
両肩に腕をまわし、立ち上がり、浮き上がる。
「貴様ぁ!私達を愚弄するかっ!」
「私達は子供じゃねぇんだぞ!」
「脚ブラブラさせながら何言ってやがんだ落っこちるぞ!」
そう言って両脇にさっと抱えられる。
じたばたしてみるが時晴に勝つ元気も無い。
「二人は捕まえられたのかな、、、」
「断片ももはや暴走状態だし早く捕まえてもらわないとね」
「おー幻視者ちゃん達、こんな所にいたんだー」
海乃さんと睦規さんだ。
って、、、。
「「断片追いかけてるんじゃ!?」」
「うん今絶賛追いかけ中だよ」
「駐輪場まで遠かったからな。少し遅れを取ったが断片が走る速度よりは速い。追いつけるはずだ」
そうですか、、、。
「じゃあこれ付けときますね」
抱えられたまま幻術を使う。
「「バブルオブザーバー!」」
手から一つずつシャボン玉を出す。
ふわふわ浮かびながら二人に付き従う。
「このシャボン玉は私達の眼になって代わりに視覚、聴覚情報を得てくれます」
「遠隔操作も出来ますが、とりあえず二人にくっ付かせておきますね」
「いつの間にそんな難しい幻術が使えるようになってたのすごい才能だねわたしなんかすぐ越えられちゃうよ」
ふふ、褒められるのは悪くない。
抱えられている状態じゃなければもっと良かったが。
「とにかく、今は断片を追って下さい。幻術の話は後で」
これは時晴の言う通りだ。
「また後でねー」
「断片は必ず確保してくる」




