第五話「見覚え」
カズサが急に住むと言い出した次の日。
水曜日だから普通に学校に行かなければならない。
「それじゃー、ホームルーム始めるぞー。号令ー」
「起立、礼」
担任の薩摩先生が教室に入ってくると、立ち上がりぺこりと適当に礼をする。
いつもと同じだ。
「まずー、来週の歴史学習のことなー。朝から校外に出るから弁当忘れんなよー。あと、前言ってた事前学習のレポート今提出なー」
ほう、レポート。
れぽーと?
「ええっ!そんなの言ってましたっけ!?」
「先週言ってただろ、、、。やってないのか?」
「もちろん」
俺はここ何ヶ月かは一度も遅刻早退欠席等していない。
授業もホームルームもなんとか寝ずに聞いている。
つまり、俺は起きたまま異世界をふらついてらしい。
だいたい行くのは、里奈と手を繋いで歩いたり、里奈と綺麗な夕陽を見たりする異世界だ。
「はぁ、、、。今日放課後居残りなー。他に忘れたやついるかー」
教室が静まり返る。
「という訳で、秋野。一人で頑張れよ。情報処理室空けとくから」
「、、、はい。分かりました」
ただでさえカズサが来てドタバタしていると言うのに居残りとは、、、。
「、、、今日は連絡これだけ。レポート後ろから集めてー」
後ろからレポートのプリントが回ってくる。
やはり見覚えがない。
自分の分は無いのでそのまま前へ回す。
「じゃあ終わりー。号令ー」
「起立。礼」
始まりと同じように礼をして解散する。
「はぁー!居残りかー!」
「頑張ってねー」
「お前他人事だと思って、、、。常に他人の過ちを自分の過ちだと思って精進して下さいなっ!」
胸を張って説教する。
「もう、、、。一番精進しないといけないのあんたでしょ!」
ぐうの音も出ないとはこの事か、、、。