第三十二話「貴様」
部屋に運ばれてきた夕食を食べ終え、しばらくまったりしていた。
「明日、何時に出発するの?」
「すぐそこだからいつでも良いけど、まぁ断片の行動次第だな。朝方は動いてない事が多いし、八時にでも出れば間に合うだろ」
断片に取り憑かれた人でも、普通に生活している事が多い。
暴走さえしなければ、放置していても問題は無いのだ。
ただ、暴走が何をきっかけに起こるかは予測出来ない。
やっぱり感情が昂る時に起こるのかな?
「シャワー浴びてきますね」
「覗かないでよ。時晴」
「何で俺を名指し!?俺に前科なんて無いだろ!それに海乃さんの方が覗きそうだし」
「ぐふふ、わたしももう一回入っちゃおうかな!」
「「入らなくて良いです!」」
シャワーくらいゆっくり浴びたい。
部屋に付いている、家と同じくらいの大きさのシャワールームに入室。
声が聞こえてくる。
「シャワー浴びるのも二人一緒なんだねー」
「別々の事をすると思考が混乱してしまうのかもしれないな」
「幻視者も大変ですね」
私達にとってはこれが当たり前なんだけどね。
逆に二人が繋がっていない状態を知らないので他の人の感覚も良く分からない。
髪を洗いながら、思った。
「お前らの分のベッド、これで良いか?」
ベッドの下から小さい子供用のベッドが這い出てくる。
三つあるベッド。
二つの子供用ベッド。
イラッ。
実際には子供用と言うよりただ収納の都合で小さくなってしまっただけだとしても、イラッ。
「時晴がこれで寝れば?」
「私達が二人で大きいベッドに寝るから」
「ほーら子供扱いしたから怒っちゃったー」
「仕方無いでしょそりゃ一番小さいんだから!」
ボコッ。
「で、でも!俺だと背が高いからはみ出るだろ?」
身長だけ無駄に高いんだから。
ちょっと分けろ。
「そんなに大きいベッドが良いなら俺と一緒に寝るか?」
「「はぁ!?」」
「大丈夫俺ロりょーっと何でも無い!」
もう遅い!
貴様には滅びてもらおう!
「「ナックルエ」」
「ダメだダメだそりゃ本当にダメなやつ!」
その夜、時晴は小さなベッドの上で縮こまりながら眠りましたとさ。




