第三十一話「図鑑」
やっと、、、。
約二時間かけて宿に到着。
暗くなり始めている空は日本とあまり変わらないように感じさせる。
「大体、本当にダッシュスクーター以外の交通手段無かったの?」
「電車もあるけど、かかる時間同じだったから」
時晴をボコボコにした後は部屋へ。
「しょくびもついでるっで」
食事も付いているとはなかなか親切だ。
「フィリピンまで来て今更だけど、今回は何の断片なの?」
最初は悲しむ断片。
前回は安らぐ断片。
「今回は、驚く断片って所だな。驚いた時とかに出る波長が無茶苦茶不安定だったし」
確か断片レーダーは、脳波とか色々な物を測定した結果、異常のある所に反応する、とかそんな感じだったよ。
ただの変人が引っかかったりしないだろうか。
特に幻想科学研究所の。
その一人、海乃さんがダラダラしながらテレビを点ける。
「タイムマシン開発大手、リヒゼン社の管理体制のずさんさが」
ピッ。
「ロシアの天才少女ミーセ・ラブゼアンにクイズで挑むのは!」
ピッ。
「肩こりにお悩みのあなた!」
「おーっ!わたしだー!」
肩がこる原因はあれだろう。
羨ましい悩みだ。
「時晴、枠円の解析結果は出たのか?」
睦規さんと時晴はミウ・トートを操作しながら話している。
「出たんですけど、消えた存在がどうとかまでは到達出来ないですね。やっぱり断片全部集めないと分からないっぽいです」
「アポトーシスとやらについては?」
「どんだけ調べても、そういう組織の噂とかも無いですね。上野途作についても幻覚名鑑に無い幻覚でしたし」
「幻覚名鑑って?」
「図鑑みたいな?」
幻視者って図鑑になるくらいの数いるのかな?
「過去にいた幻視者とかその幻覚が記録されてるデータベースだ。公にはなってないけどな」
「私達と同じ能力の人もいたの?」
「ああ。過去に一例だけ確認されてる。だから会ってすぐにお前らが幻視者だって分かった」
精神共有という名前もその人達の時に付けられたのだろう。
他にも自分達と同じように幻視者がいるのか。
聞いた事無いけど。
「お前らも名鑑に載せたから、今、名鑑に載ってて生きてんのはお前ら以外には二、三人って所か。まぁ、アポトーシスに幻視者がごろごろいる可能性はあるけど」
あいつらももっと社会のためになる事をすればいいのに。
上野なら、ピアニストにでもなれたのかもね。




