第二十四話「治す」
「すみません、いきなり走らせて」
「いえ、それよりも狙われているのは私なんでしょう?」
安らぐ断片、息を整えながら確認する。
「、、、正直言うと、あなたのその症状は、断片と言う物によって引き起こされる珍しい現象なんです。それを狙って来る奴らがいるんですよ」
「私のせいですよね、、、私がもっと早く相談するとか、何か対策を取っておけば。これからも私は狙われ続けるんじゃあそれにあの二人だってきっと危ない目にあってそれも私のせいで私はどうなるのこれからどう生きていけばいいのこの症状が出ている限り私は何一つまともに出来なくてそれでそれでそれでそれで」
時晴、異常を目の当たりにする。
「大丈夫ですか!?落ち着いて下さい!」
時晴、肩を揺さぶる。
「ダメだ、完全におかしくなってる」
「不安で不安で不安で不安で!早く!安らぎたい!」
「しっかりしてください!あーっ!枠円何で一つしか持ってきてねぇんだよ俺のバカヤロー!」
時晴、安らぐ断片を引きずるように近くの駐車場へ。
時晴のスマホ、着信音を鳴らす。
時晴、応答する。
「アワナ!そっちは大丈夫なのか!?」
「ひとまずあいつは動けなくした!今どこ?」
「公園を左に曲がって二番目の角を右折して真っ直ぐ行った辺りにある駐車場だ!早く来てくれ!断片が暴走し始めてる!」
「あいよ!」
時晴、通話を終了する。
猛ダッシュで向かう。
以前のように死のうとするかもしれない。
救えたかもしれないのに救えなかった、なんて事にはしたくない。
左!
二番目の角を右!
あった!
「おーい!ここだーっ!」
時晴が女性を羽交い締めにしている。
平日の昼過ぎじゃなければ見つかって通報されていただろう。
「早く死なせて!生きていくなんて無理よ!生きていると不安で潰れそうなの!私は早く死んで!楽になりたいの!安らぎたいの!」
おおう、、、。
かなり悪化している。
「生きていても!安心なんて出来ない!」
「「そりゃそうだろ!」」
断片の影響だと分かっていても言う。
「生きている限り本当の安心なんて出来ない!」
「だけど死んだ方が安心出来るなんてのは間違いだ!」
胸ぐらに二人がかりで掴みかかる。
「死んで何も感じなくなったらそりゃ苦しくはないよ!」
「ただそれは、苦しさも悲しさも楽しさも喜びも何にも無いだけで!安心なんかじゃない!」
「「結局、生きている事以上の喜びは無い!」」
枠円を額に向かって突き出す。
「「死んで安らぐくらいなら、苦しくても痛くても、不安ごと生きろ!」」
黒いもやを吸い込むように、断片を、感情の歪みを治す。
ガクンと力の抜けた女性を時晴が抱え直す。
女性の目にはさっきまでは無かった水滴が置かれていた。
「回収完了だな」
「そうだね」
「この人どうする?」
結局、さっきの公園の動かしていないもう一つのベンチテーブルに寝かせておいた。
そして、上野途作は。
「いない、、、」
公園の真ん中に横倒しのベンチテーブルが転がっていただけだ。
「まぁ、ケガもしてるみたいだし、断片は回収出来たから今追いかけてくる事はねぇだろ」
アポトーシスと呼ばれる組織については情報を整理して何かしらの対策を取ろう。
いつ殺されるか分かったもんじゃないよ。
「んじゃひとまず帰るか」




