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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
on truth

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第二十二話「拳」

「「ナックルエレキ!」」


拳に電撃のバリアが張られる。

上野が右側に回り込むように走る。

フードが脱げ、その凶悪な表情が見えるようになる。

一対二を対処するために横から攻撃するつもりか。

肩から生えた二本の右腕が襲いかかる。


「ほっ!」


未知数な所の多い半透明の腕は左の拳で受け、ただの拳は体を捻って回避する。

攻撃に移られる前にこっちから。

こっちは二人、腕は四本もある。


「ちっ!」


左脇を抜けた生身の拳を電撃で焦がしてやろうと思ったが左肩から出ていた腕を右手に重ねるように少しだけ生やす。

さすがに手を貫通させるほどの威力は無い。

一度下がって仕切り直す。

時間稼ぎが目的だが、出来ればボコボコにしてやりたい。


「いてぇんだよなそれ。まぁ、いてぇだけなら何とかなるか」


サクサクと完全食バーをかじり、噛み砕く。

やや短くなった完全食を再び咥え、腕を身体の中に戻す。


「ひぃ事をおひえてやるよ」


油断しちゃだめだよ。


「この腕は身体の表面積以上に伸ばせねぇ。、、、逆に言うとなぁ、広い部分からは出せんだよ」


二つの掌をこちらに向ける。

まさかこんな事も出来るとは。

掌から腕が飛び出す。

合計で腕二本分近くの長さになるという事だ。

リーチの差はかなり痛い。

海乃さんのように遠距離攻撃は出来ないからだ。


「さぁ、もっかひひくぞ!」


距離を詰めてくる。

ならば、まずは挟み込んで同時攻撃を。

私が奥に行くよ。

上野は長くなった腕を振り回す。

腕をかいくぐりながら、時に拳で弾きながら進む。


「食らえ!」


落ちていた石を投げつける。


「おいおい、そのへいどで届くと」


「インビジブルポケット!」


飛んでいった石を転移させ、逆サイドから出現させる。

そこそこの大きさがある石だ、横腹に当たっただけでも衝撃はある。


「が!?」


その間に畳みかける!

腕を殴り、近づいていく。

二人同時攻撃。

さっきまでフードで隠していた顔を両側から殴る。


「あっぶねぇなおい」


両頬から手が出て拳を受け止められた。

どんどん腕が伸びて体勢を崩された所で脚を払われる。

今度は脚から腕を生やしていたのだ。


「「わっ!?」」


転んでしまった。

まずい、反撃が来る!


「今の当たっへたら顔の形変わっへたかもなぁ!いいぞおまへたひ!オレはこうひうギリギリの殺ひ合ひが好きなんだ!アポトーシスに入ったのもそのためだひなぁ!」


来ない、、、。

楽しそうに話しているのでその隙に立ち上がる。


「その、アポトーシスってのは何なの?」


「目的は?」


「良く分かんねぇな。むしろ分かっへるやつなんかイズと解理くらいじゃねぇか?オレはこの幻覚を存分に振るえるから協力しへるだけだが」


つまりこいつは主犯格じゃない。

ただの戦闘狂だ。


「でも断片回収、失敗したらイズに半殺ひにされんだろぉな。挑戦するのもひぃが、回収した方がまひだな。つまり」


今回は完全食バーを噛み切らず、一気に口に入れ放り、包み紙を握り潰してから遠くのゴミ箱に投げ入れた。

何気にすごいコントロールね。

飲み込むと続ける。


「やっぱお前たちには消えてもらう事になりそぉだ!」

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