第二十一話「と言うより」
なぜ。
と言うより、よりによって。
「まぁ、落き着けよ。断片をいひなり殺ひたりなんかしねぇからよぉ。殺ふのはアポトーシスの目的にそぐわねぇしな」
アポトーシス?
異常のある細胞に自死を促す作用。
これが組織名か何かだとしたら、それなりに意味があって名付けたはずだ。
「ふんっ!」
左肘を後ろに突き出したが下がられてしまう。
「断片を守れ!逃げるぞ!」
「ほーん。逃げられんの?」
「「私達が逃がす!」」
未だに何が何だか分かっていない断片の女性の前に出る。
「時晴!」
「この人連れて先逃げといて!」
「あー、こひつが能登時晴か。で、おまへたひが田島泡里と田島沫奈だな、知っへるぜ」
右の鎖骨辺りから生えていた腕を身体の中に戻す。
時晴が女性を連れて奥へ逃げる。
「オレは上野途作。ウエノって書いてコウズケって読むんだ。ひがるにトサクって呼んでくれよ」
丁寧に自己紹介をする。
丁寧と言うより余裕だ。
「くふ、つっても、、、おまへたひはここで消すけどなぁ!」
来る!
「「インビジブルポケット!」」
取り寄せたのは文庫本サイズの拡張バッテリー。
バッテリーの小型化が進んだ現代では、この大きさならかなりの量の電力を供給出来る。
リストバンドに素早く取り付ける。
「来い!」
「ボコボコにしてやる!」
腕を再展開する。
肩から一本ずつ腕が飛び出す。
「おまへたひさっさとぶっつぶひて断片回収!簡単なお仕事だ!」




