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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
on truth

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第十七話「座標」

「自主練とは感心だねぇ」


「もう出来る三つを完璧にしておきたかったので」


「ほぼ完成してるんですけどね」


幻術の式を組み立てる時に大切なのは代入だ。

例えば現在の自分の位置から対象の座標を調べて代入して、電力を消費する事により現象を発生させたり出来る。


「何か見せておくれよぅ」


「一回だけですよ」


人差し指を立てて示す。

あれを見せよう。


「「インビジブルポケット」」


空間自体に穴を開け、そこから地面に落ちていた枝が垂直に上に向かって飛び出てくる。

タイミング良くキャッチする。


「おおーぅ」


始点の座標を終点の座標に代入する事で一時的に空間を繋げる幻術だ。

始点を相対座標ではなく、絶対座標として登録しておけば遠くから物を取り出す事も出来るのだ。


「そういえば二人一緒に一つの幻術を使うんだね」


「はい。二人合わせて一、五人分の知能相当なので」


「一人だけが式を使用するか、二人で同じ式を同時に使うか、ですね」


つまり、二人で別々の式を同時には使えないという事だ。


「なるほどぅ。それにインビジブルポケット、なかなか良いネーミングじゃないの。あと一つも気になるねぇ」


「それはお楽しみです」


「機会があれば見せますね」


あっちは見た目で分かりにくいので、ちゃんと準備が出来た時に見せよう。


「そういえば、伊寄さんも幻術使えるんですよね?」


「あーぁ、使えるだけね。式は立てらんないよ。ウミノに貰った一つを、使うだけ」


護身のためという事だろう。

実際、この前の日曜日の騒動でも使ったみたいだしね。

えっと、伊寄さんは、パイルアップ・ドキュメント、だっけ。

つまり、山積みの書類。

、、、どんなのだったんだろ?


「あーっ!?二人とも来てるなら言ってよーっ!」


海乃さんが研究所から研究林の方に出てくる。

とてつもない速度でこちらに向かってくる。

よく考えればこの速さを実現しているも幻術なのかもしれない。


「「ひゃうっ!?」」


く、首の所から手を入れられたぅ!

手がやや冷たいので驚いて変な声を出してしまった。


「いやーエアコンで冷えた手を若者で暖めるときもちーなー!それと今日はどうして来たのもしかして幻術の練習それとも断片探し?」


しゃがむようにして海乃さんの手から逃れる。

そういえば、断片探しもしなきゃだった。

そもそも、断片の位置を知るためのレーダー的なのはあるの?

さすがにしらみ潰しに探すのは無理だよね。

以前、時晴は断片に取り憑かれた男の所にやって来た。

都合良く遭遇出来るものでもないだろう。

つまり、断片レーダーはある。

と信じよう。


「幻術の自主練に」


「前教わった基本の三つを改良したんです」


インビジブルポケットの、絶対座標の登録などだ。

ひとまず、研究室内に登録しておいたが、ずれていないだろうか。


「「インビジブルポケット!」」


空間に開いた穴から大量の書類が噴き出す。

やはりずれていたか。

今時、デジタル化されていない書類を好んで使っているのが時晴の謎の趣味だ。

結局プリントするためのデータをコンピュータで作成しているし、なんならそれを盗まれている。

そして、それは大量に撒き散らされた紙を見て思わず出た言葉。


「「パイルアップ・ドキュメント、、、」」

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