第三話「落ち着け」
「な、何なんだ、、、これ?」
爆破されていく街。
逃げ惑う民衆。
犯人と思われる一人の男。
スオウライガ。
あまりにも残酷だ。
「これはね、未来に実際起こること。信じられない?まぁ、、、信じられないよね」
まだ呆然としている俺を見て説明する。
「でも信じて」
こいつは何を言っているんだ。
説明して欲しい。
「どういう事だよ!急にこんなもん見せられて信じろって言われても無理だろ」
落ち着け。
イヤホン的なものは付けたが、自分の声は他の客にも聞こえている。
大声を出すのは良くない。
「、、、そもそも、なんで俺にこれを見せたんだよ」
「うーん、色々あるんだけど、一から説明するとね、、、」
イヤホン的なものを外して聴く。
「ショウヤの来世があのテロリスト、周防頼我なの。で、ワタシはその時代から来たの。前世であるアナタにこのテロを未然に止めてもらおうと思って来たってことなんだけど」
思わず首を傾げる。
「もうちょっとゆっくり言って欲しい感じだけど」
おっと、語尾を真似したみたいになってしまった。
「まず?来世って言ったか?来世とか前世ってほんとにあんだな。で、その来世がテロリスト?なんでそうなったんだよ、、、」
俺の行いが良くなかったのだろうか?
「次、えーっと、カズサって言ったか、お前が未来から来たのかよ。タイムマシンとかあんのか?」
だとしたら今から何十年後の未来から来たのだろうか。
きっと今の俺には想像できない技術などがいっぱいあることだろう。
「そ!れ!で!一番の問題が!なんで俺がそのテロ食い止めんの!?ちょっと理解できないので説明していただきたーい!」
重い話題ゆえ、意識してテンションを高くする。
「単刀直入に言うとね、ワタシもアナタのとこに来るつもりはなかったの。でもタイムマシンの不具合で前世か、元の時代に戻るか、しか出来なくなっちゃったのよ」
「大丈夫なのか、それ。、、、で、とりあえず俺に頼んだと」
よりによって前世とは。
もっとありそうな不具合あるだろ。
一年とか、一世紀とか。
「そ、まぁ、ワタシの前世がショウヤと同じ時代の人でラッキーって思ってすぐに来ちゃったから、止める方法とかが具体的に決まってるって訳じゃないんだけどね」
「おい今何気に重要な事言わなかったか!?」
本当に大丈夫なのだろうかカズサは。
こんな無計画な状態で来られたらこっちも困るのだが。
「そこも含めて一緒に考えよってこと!女の子と二人きりなんてドキドキしちゃう?」
カズサがおちょくるように言ってくる。
「しねぇよ!大体二人きりじゃねえだろここ!」
「あらあら照れちゃってぇ。あ!そう言えば一緒に帰ってた子は誰?彼女?」
「ちげぇよ!大和里奈!ただの幼なじみだって!」
思わず大声を出してしまった。
「で、アナタはどう思ってるの?好き?嫌い?」
「そりゃ、、、好きだけどさ、、、」
「あーもう、青春だねぇ」
あーもう、お前は嫌いだねぇ!
「はぁ、、、。とりあえずこっから出ようぜ。あんまり聞かれていいもんじゃねぇだろこれ。結構大声で叫んじまったけど、、、」
「気が利くねぇ。こりゃモテモテだな、この!」
二人で席から立つと肘でグイグイ脇腹を突いてくるカズサ。
いつの間にかパフェも空だ。
「じゃアナタんちね。さぁ行こ行こー!」
糖分のおかげか上機嫌でレジの横を通り過ぎ外へ出る。
れじのよこ?
「おい俺が出すのかよ!」
千二百円プラス税の恨みは忘れない。