第十話「エプロン」
食材はスマホで注文した。
一通りの調理器具もある。
「エプロンはこれしか無いんですか?」
ヒッラヒラのフッリフリ。
ピンクでハート。
「これはトキハルの趣味でねぇ」
「勝手に俺のせいにしないで下さいよ!第三ラボの何代も前の先輩が残した負の遺産でしょこれは」
第三ラボは何を研究していたのか。
というか、これが五着もあるのはひどい。
スマホの通知音が鳴る。
見れば食材がドローンによって届けられたという知らせだ。
「、、、仕方ないですね」
「このエプロンでやってやりますよ!」
作る料理は決まっている。
食材はその料理に必要な分しか注文していないため、メニューを変えようが無い。
「ほほぅ、尊いなぁ」
伊寄さんは食材を見て何を作るか分かったようだ。
「卵、米、鶏もも肉。それに玉ねぎ、牛乳、塩、胡椒、バター、ケチャップ、サラダ油。これは、、、パセリか」
睦規さんも食材を順番に見ていく。
料理は出来なさそうだが、知識としては分かっているらしい。
時晴も何を作ろうとしているか気付いたようだ。
「こ、これは!」
「そうです」
「これは古より伝わりし料理」
「「オムライス!」」
卵でチキンライスを包む何百年も前からある伝統料理。
この料理は定番となっている。
ご主人様のためにおまじないをかける料理の。
このエプロン、、、。
「これは狙ってたんじゃないのぉーう」
「いやいや本当に偶然なんですって!」
複雑で難しい料理も出来なくはないが、この人達は分かりやすい料理の方が喜んでくれそうだと思った。
一品でもご飯になる分かりやすい料理。
焼きそばにすれば良かったよ。
まぁ、とりあえず。
「「調理開始!」」
まず肉切るよ。
じゃ私は玉ねぎ。
「は、速い!こいつら本当に高一か!?」
フライパン!
はいよ!
二つのフライパンで三人分ずつ調理する。
二人なら十分出来る。
バターを中火で熱し、溶けたら鶏もも肉と玉ねぎを投入する。
炒めているだけでも良い香りがする。
鶏肉も玉ねぎも良い色ね。
よし塩、胡椒!
混ぜて炒める。
卵用意するね。
パラパラしてきたらケチャップ!
「何も言わずにこの連携はすごいねぇ」
卵を溶く。
白身が残らないようにしっかりと。
チキンライスにパセリを加えてささっと混ぜる。
火を止めて一度ボウルに移す。
フライパンを洗ってキッチンペーパーで水分を拭き取る。
キッチンペーパーがこの研究所にあって良かった。
サラダ油を引き、卵を一気に入れる。
「おおー美味しそう美味しそう」
卵の中心は少し混ぜ、半熟になってきたら火を止め、チキンライスを楕円状に乗せる。
フライ返しを使って卵でチキンライスを包んでいく。
破れないように慎重にね。
フライパンの側面を使って形作る。
「誰かお皿用意して下さい」
「よーし持ってくるよもうすぐ完成だー!」
海乃さんが持ってきた大きめのお皿に、ほぼオムライスを移す。
キッチンペーパーで形を整えたら。
「「二人分!」」
あと四人分も同じように卵を入れる所から。
とりあえず全員分ほぼ完成。
「あれやってよあれ美味しくなるやつ」
「「えぇー、、、」」
「今更恥ずかしがっても意味無いよぉ。トキハルもやってほしそうじゃんかぁ」
「い、いや俺はやってほしくなんか、、、」
時晴はまだ私達の魅力に気付いていないのか。
ならばお見せしよう。
ケチャップを構える。
「愛がこもったオムライスに!」
「もっと美味しくなるおまじないをかけますねっ!」
「「美味しくなあれっ」」
二人でケチャップを持ち、ハートを描く。
もう片方の手でハートを作る。
「今のはちょっと良かった」
「ちょっとじゃなくてすごく、でしょ」
「私達の魅力に気付いた?」
「早く早くわたしにも!」
「「美味しくなあれっ」」
「うふぐふふ」
海乃さんにも。
「「美味しくなあれっ」」
「よい」
伊寄さんにも。
「「美味しくなあれっ」」
「そうか」
睦規さんにも。
流石に自分たちにはしなかった。
「さぁお腹も空いたし食べよーぅじゃないの」
「「「「「「いただきます!」」」」」」




