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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
on truth

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第六話「奇行」

ダッシュスクーターは自転車という物が原型だと聞いた事がある。

ペダルもチェーンも無くなって、漕がなくても進む。

確か電磁石か何かを使ってたんだよね。

そこそこの速度が出るダッシュスクーターでも四十分かかる距離に研究所はあるのだ。

遠っ。


「ここね」


「毎日とか言ったのは誰よ」


「おー、来た来た。こっち停めてくれー」


時晴は手を振って呼ぶ。

ダッシュスクーターを停め、ヘルメットを脱ぐ。


「んじゃ、バイトの説明をぼっ!?」


「「その日に集合時間言うな!」」


腹に一発入れる。

二人だから、正確に言うと、同時に一発ずつ。


「ごべんなさひ。これには訳が」


腹を抑えながら入口の方へ歩き出す。

改めて見てみるとなかなか立派な建物だ。

ドアの横に手を押し当てると音もなく開く。


「よぉーう、キミらが幻視者だなー?」


奥から白衣を着た女性が歩いてくる。


「「よろしくお願いします」」


こういうのは第一印象が大切だ。

挨拶が大事ね。


「こちらこそぉー。ワタシは滝井伊寄。トキハルの先輩だよ」


「他にも先輩はいるけど、直接の先輩はあと二人いるんだ。、、、個性的だぞ」


時晴はうんざりしたように言う。


「じゃこっちねぇ。他の二人もいるから」


こんなに朝早くから大変ね。

少し奥の部屋に入ると、個性的な人がいた。

うん。

個性的ね。

個性的って事にしておこうよ。


「おはようございます、睦規さん」


四つの画面を見て同時に操作していた男の人が顔の向きをそのままに話す。


「時晴、幻視者は?」


「連れてきました。睦規さんが急に言うから腹にパンチを入れられましたよ」


「ん?ああ、もう明日か。というより今日か」


まさか。

オールナイトか?

時間感覚が麻痺していたからこんな朝早くに呼び出されたのか。


「いーかげんムツキも休みなよぉ。今まで何回壊れてんの?」


壊れたって身体の事?

こわ。


「幻視者ちゃーん!」


奥からもう一人が出てくる。

と思ったら私達に飛びついていた。


「「な!?」」


速い!

動きが見えなかった!


「ぐふふ今日は良い日よあー可愛い」


頬を擦り寄せて喜ぶ。

こわ。


「えーっと、、、この人は石見海乃さん。奇人。で、こっちが武蔵野睦規さん。奇人。そして、滝井伊寄さん。奇人」


奇人しかいねぇじゃねぇか!


「確か、協力者はいないんじゃ、、、」


「それが、幻視者に会ったって話したら三人が飛びついてきてさ。まぁ、楽しいバイトになると思ってくれ」


「初めて幻視者見たよあはは可愛いなー」


むちゃくちゃ胸を揉んでくる。

揉む胸はほぼ無いが。


「名前は?」


睦規さんが尋ねる。

海乃さんの奇行には慣れているのだろう。


「右にヘアピンの私が泡里で」


「左にヘアピンの私が沫奈です」


「お!そんじゃ私達も自己紹介するよ」


「さっき名前は言いましたけど」


時晴は海乃さんに言う。

代わりに伊寄さんが答える。


「自己、紹介では無かったしぃ、一回やっとこーか、ねムツキ?」


睦規さんは無言で立ち上がり、三人が同じところに集まる。


「なんでこれに肯定的なんですか!ったく、はぁ、、、仕方ない」


時晴はそんなに自己紹介が嫌いなのかな?

トボトボと三人の元へ向かう。


「ハードウェアたんとぉ!滝井伊寄!」


「ソフトウェア担当。武蔵野睦規」


「幻術担当!石見海乃!」


「雑務担当!能登時晴!」


「「「「我ら幻想科学研究所第三ラボ!」」」」


ポーズを決める。


「「お、おぅ」」


かっこよくなくはないけど。

決まってるっちゃ決まってるけど。

大人がこれをね、、、。


「なんで三人ともこれが好きなんだよ、、、」


「さぁーこれから何しよっかぁ?」


「幻視者ちゃんをいじくりまわそー!」


「幻視者メインじゃなくて、断片メインですよ!約束しましたよね!」


断片の理論は時晴独自の物で賛同者がいない。

幻視者に会わせるという条件で協力してもらっているのだろう。


「でもー幻視者がー」


「はぁ、、、分かりました。とりあえず身体計測からやりましょう」


「第一検査室が空いていたはずだ」


「というわけでキミらは先に着替えねぇ」


伊寄さんに連れられて検査室に行く。

簡易的な更衣室に、検査用の服も置いてあった。


「着替えられたら反対側の扉から出てねぇ」


変な所にひもが付いていたり、着慣れない服は難しい。

ドアを開けると、その先に検査室があり、時晴が待っていた。


「まず身長から測るぞ」


前測ったのは入学してすぐくらいだったっけ。

伸びてるかな。


「じゃアワリから」


身長計に乗る。

頭にバーを押し当てられる。

ピピッという音が鳴り、降りる。


「身長一四四、三センチメートル」


ああ、二ミリしか伸びてない。


「体重四二、一キログラム」


な!?


「体重も測るなら言ってよ!」


よく見たら足元に小さな画面が付いている。


「女の子の体重を測るなんて無神経ね」


「悪い悪い今体重測るの思い出したから」


その後、私も測った。

身長一四四、四。

体重四二、二。

時晴のバカ。

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