第四十四話「普通」
「おはよー!タジマ姉妹!イズ!」
「「おはよーハナミちゃん」」
「おはよう」
不自然さが残るイズの挨拶も、普通に生きようとしている途中経過であると思えば微笑ましく感じる。
「冬休みって一瞬だよねー。でも短い期間にクリスマスとお正月が詰まってるのはある意味豪華かも!」
冬休みが明け、また学校が始まる。
こんな普通の日々では幻術を使い、外道の戦いをする機会は無い。
たぶん。
「あー宿題やってねー」
「夏休み明けも同じ事言ってたな」
「初詣の時すっごいキレイな人いるなって思ったら、その人ミーセ・ラブゼアンでさ!」
「偽物じゃないの?」
「いやあのオーラは本物以外出せないって!」
教室はわいわいと騒がしくなっていく。
これが日常。
過去から積み重ねられてきた歴史が形作った現在。
そして現在は過去になり、歴史になり、未来へ繋がる。
過去を改変し、今を変えるなんてのは、この美しい歴史の流れを冒涜するに等しい。
「どうした」
イズが些細な表情の変化を感じ取ったらしい。
「別に何とも無いよ」
「ただ、こんな日常がこれからも続いていくんだなって思ってね」
普通の日々は終わらない。
未来へ続く歴史の道を終わらせない。
「そうだな」




