第四十二話「テレポーター」
「ミーセ」
「調子はどう?」
ミーセの病室を訪れる。
激しい戦闘で消耗したため、一応入院させたのだ。
大きな怪我も無く、入院期間も短く済みそうだ。
「かなり良くなってきたよ」
言葉通り、顔色も良いし元気そうだ。
怪我や病気ではなく疲労による入院なので、しっかり休めば何とかなるのかもしれない。
「二人は、どうしてあそこまでやったの?」
「あそこまでって?」
何を言いたいのか大体分かっているが、あえて聞き返す。
「昨日の事だよ。ボクを助けるだけなら、逃げるだけでも良かったでしょ?」
確かに、戦闘を最小限にする方法はあっただろう。
だが、最も正しい方法が最も良い方法とは限らない。
「ミーセを攫うような危ない集団をそのままにはしておけないじゃん」
「色々陰謀もあるみたいだったし、ついでに潰しておいたんだよ」
ミーセは納得したように窓の外に視線を移した。
「、、、それとさ」
「せっかく久しぶりにミーセに会えると思ったのに、邪魔されたからってのも、、、あるし」
ミーセはぐいっとこちらに向き直した。
何故か少し嬉しそうだ。
「ふふっ、だからって組織一つを徹底的に潰すかな?はははっ!」
何がそんなに面白いのか。
やっぱりミーセが何を考えているのか測りきれない。
「元気そうだねぇ、ミーセちゃん」
伊寄さんがドアを開けて入ってきた。
病室の外まで笑い声は聞こえていただろう。
「うん。早く退院したいな。こんなに元気なのに、まだ検査とか問診とかあるんだって」
退屈を感じているミーセを見ると、私達は入院しなくてラッキーに思う。
「じゃあさ、抜け出しちゃおうよ」
「ちょっとくらいなら大丈夫だって」
私達は正義の味方じゃなく外道だ。
必要とあらばルールを破る時もある。
「でも、そんな事したら、、、」
ミーセはまだ踏ん切りがつかないらしい。
「良いじゃーあないの。元気なんでしょ?病院側には後で話をつけとくからさ、、、時晴が」
伊寄さんは半ば強制的にミーセをベッドから立たせる。
「、、、分かったよ。ボク、結構悪い子になってきてるのかも」
「その割には嬉しそうだね」
「ふふっ、何でかな」
靴を履き、銀色の髪をなびかせる。
「それじゃあ、行くよ」
転移の式で空間に大きな穴を開け、入口にする。
私達の転移の式はテレポーターと呼ばれた男が使っていた幻術のように壊すための物ではない。
場所と場所、物と物、人と人を繋ぐための物だ。




