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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
and truth

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第四十話「絶対安静」

「「なっ」」


「時晴!」


ミーセは倒れ込む時晴を何とか支える。


「はっ!あーはははははははははははっ!よくやった!ざまあみぶ」


下品に笑うフィルターの顔面にパンチをお見舞して黙らせる。


「下の伍」


「う、うわっ!?」


遠くにいた構成員をイズの雷電が速やかに狙撃し、無力化した。

持っていた武器が地面に落ちる。


「下の肆」


泥沼が武器を飲み込み、イズの手元に落ちてくる。

代わりに意識を失っていたフィルターを雑に地面に転がす。


「やはりこれか。どさくさに紛れて拾っていたらしいな」


イズには見覚えがあるようだ。


「時晴っ!しっかり!」


ミーセが地面に寝かされた時晴に呼びかける。


「だ、大丈夫だ。意識は、ある」


時晴は大した事は無いと言うかのように答える。


「動くな。死ぬぞ」


イズが時晴に鋭く言い放つ。


「お前に撃ち込まれたのは恐らく毒だ」


イズは銃口を真上に向けて引き金を引く。

少しして落ちてきた小さな弾を器用に摘んでキャッチした。


「これに一定以上の衝撃を加えると砕けて中の毒液が漏れ出す。転移の式を使い、直接体内に弾丸を埋め込んだんだろう」


「詳しいね」


「元の持ち主と戦った時にある程度調べた」


イズがいなければ無理しがちな時晴は動こうとして死んでいただろう。


「ありがとね」


「助かった」


時晴は絶対安静。

移動させようとすれば弾丸が砕けて毒が流れ出す。


「解毒薬は持ってた?」


ミーセは時晴を動かさないように、触れるのを我慢しながら聞く。


「所持品を調べたが解毒薬の類は持っていなかった」


恐らくミーセの脳内では何万もの方法の中から最適解を探しているのだろう。

時晴を助ける方法を。


「み、ミーセ」


時晴が力を振り絞って何かを言おうとしている。


「動いちゃダメだよ!」


油でヌルヌルした時晴の手はズボンのポケットの中に向かっている。

何かを取り出そうとしているようだ。


「演算装置が刺さって、痛いんだ。出してくれ」


「そんな事か」


「もっと重要な事かと」


深刻な表情で言い出したから何事かと思ったのだが。

まぁ、ずっと動けないのだから気になる所は取り除いておきたいか。


「分かった!すぐ出すからね!じっとしてて!」


ポケットから演算装置をゆっくりと取り出す。


「、、、これなら」


ミーセは演算装置を持った状態で急に動きを止めた。


「アワリちゃん、アワナちゃん。今から幻術を作れる?」


「「今から!?」」


何か思いついたか。

いや、何だろうと関係無い。

出来る事は何だってする。


「、、、分かった」


「どんなのが必要?」


ミーセに必要な幻術の詳細を教わる。


「なるほどね」


「すぐに作るよ」


超高性能コンピュータのミウ・トートを使い、幻術の式を作る。


「「インビジブルポケット」」


転移の式でミウ・トートと拡張バッテリーを呼び出す。

寝かされている時晴の前に陣取り、ミウ・トートの三面鏡のような画面を開く。


「イズは周囲の警戒をお願い」


「邪魔に入られたくないからね」


「上の参」


イズは頷くと木刀を呼び出して背を向けた。

ミーセもミウ・トートを呼び出し、既に準備に取り掛かっている。


「ここまで来て半端な結末なんて嫌」


「バッドエンドになんてさせないから」

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