第三十八話「決着」
あっけない決着だったね。
ほんの少しの隙を突かれ、私達に殴られた。
一度でも殴られれば反撃の方法を考える事すら出来なくなり、ひたすら殴られ続ける。
「加勢は不要らしいな」
いつの間にかイズがいた。
殴る事に集中しすぎて周りが見えていない。
今後は気をつけよう。
「うん」
「もう終わるよ」
フィルターから奪う電気の量が減ってきた。
意識レベルが低下しているのだ。
意識を失った人の電気信号の量は把握済み、もう少しでそこまで辿り着く。
「私の方でライターと呼ばれる上位構成員は無力化しておいた。パワードスーツが力尽きているのも確認した。残っているのはこの幻視者と、下級構成員だけだろう」
イズの報告によると、他に厄介な相手はいなさそうだ。
さっさとこの幻視者を終わらせて、ミーセと一緒に帰ろう。
「分かった」
ボゴッ!
フィルターを思い切り殴って地面に転がす。
「殺さないだけありがたく思いなよ」
首元を掴んで持ち上げる。
完全に意識は無くなっているようだ。
「横の壱」
イズが右手の人差し指を左に伸ばし、電気のロープが金髪の幻視者を縛り上げた。
「私が持つ」
私達の疲労を察したのか、イズがロープを掴んでフィルターを担ぎ上げた。
「ありがと」
ミーセと時晴はモーターを、イズはライターを撃破した。
私達も今フィルターを撃破。
私達の戦いは終わったのだ。
「おーい時晴ー」
ミーセと時晴はどこかに退避しているのだろう。
「おーいミーセー」
「こっちだ!」
奥の車両の陰から腕が伸びる。
時晴がこちらに位置を示しているのだ。
ゆっくりとだが、歩いて向かう。
「そっちも無事に終わったみたいだな」
時晴の服はかなり汚れていたが目立つ外傷は無さそうだ。
ミーセは車両に背中を預けて座っている。
疲労困憊だと言う事が見てすぐに分かる。
「ミーセも何とか生きてるみたいで良かったよ」
「あはは、結構苦戦しちゃったけどね」
ミーセは疲れた顔で笑う。
「海乃さん達に合流しよう」
「位置は把握している」
イズが海乃さん、伊寄さん、睦規さんがいる場所への案内をしてくれるらしい。
「ミーセ、立てるか?」
時晴の肩を借り、ミーセは何とか立ち上がる。
「ありがとう時晴」
ゆっくりと歩き出す。
その時。
「あ、う、、、」
フィルターが目を覚ました。
目を見開き、私達ではない何かを見て叫んだ。
「撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
フィルターが見ていた方向にガバっと振り返る。
その時にはもう遅かった。
銃のような何かを構えた下っ端の構成員が引き金を引いていた。
それが普通の銃なら弾丸を防いだり避けたり出来たかもしれない。
しかし、そんな動作は全て間に合わない。
「が」
時晴が撃たれた。




