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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
and truth

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第三十三話「捕縛」

電撃と打撃を受けて気絶したライターをイズは見下ろす。

最後の最後までフィルターを信じ、縋っていた。


「横の壱」


電気のロープがライターの身体を腕ごと縛る。

ミーセの幻術を参考にした、対象を縛る幻術が登録されている。

言うなれば、捕縛。


「本来の目的に戻るか」


そう、元々イズは海乃、伊寄、睦規と合流しようとしていたのだ。

邪魔なライターも無力化したのでやっと本来の目的に戻れる。


「上の弐」


ライターを縛るロープを掴み、俵のように肩に担ぎ上げる。

強化の式で身体能力を強化したため左手一本だけでも軽々持ち上げられた。


「、、、武器が無い」


イズが使っていた木刀の事ではない。

上の参でいつでも呼び出せるため適当に放っておいても問題は無い。

ライターが使っていた、着火用の道具のような武器の方だ。

攻撃の際に遠くにまで飛んでいってしまったのか。

辺りを見回してみるが、それらしき物は無い。


「これ以上探すのは時間の無駄か」


タイムロスを懸念し、探すのは断念する。

使い手は確保済み。

万が一他の構成員の手に渡っても使いこなせるとも思えない。


「下の肆」


泥沼に沈み込み、高さ三十メートルほどの位置に転移する。


「上の肆」


空中で浮遊し、施設全体を見渡す。

建物で隠れる部分があるとは言え、かなりの広範囲が見える。


「幻視者とパワードスーツは合流しているか」


アワリ、アワナ、ミーセ、時晴と交戦中のようだ。

他に戦闘が行われている様子は無い。


「、、、あれか」


遠くに小さく見えたのは海乃達だ。

動きは無く、三人でまとまっているように見える。


「生死確認が必要だな」


イズは意外と独り言が多い。

自分の発言を客観的に捉えるためだ。

客観的に、普通の感性を持つ人であるかを判定したいのだ。

かつてイズに普通に生きる事を望んだ人がいた。

その人のためにイズは普通になろうとしている途中である。




「息はある。外傷も大した事は無い」


イズは近くに転移すると、生死確認を行った。


「下の伍」


倒れている三人に電撃を浴びせる。


「あうっ!?」


「どぅわいっ!?」


「ず」


それぞれのリアクションで飛び起きる。

弱めた電気でショックを与えたのだ。


「ひどいよぅイズちゃん」


「、、、その男は?」


睦規はイズが担いでいる男に注目する。


「ライターと呼ばれていた。上位構成員だろう。放置しておくより連れてきた方が良いと判断した」


「それよりもパワードスーツのモーターは?倒したのにいなくなってるよそれにわたしたちもいつの間にか眠っちゃったし」


海乃は腕を力無くぶらぶらさせながら言う。


「四人と交戦中だ。相手はパワードスーツ、そしてフィルターと呼ばれている幻視者」


イズは分かっている限りの情報を伝えていく。


「なるほどねぇ、幻視者もいるんだ」


「加勢したい所だが、、、」


睦規達は既にかなり消耗している。

パワードスーツをボロボロにするまで追い詰めた代償だ。


「問題無い。私だけで行く」


「分かったじゃあその人はわたしたちが見張っておくよ」


イズは気を失ったライターを三人に預け、泥沼に足を踏み入れる。


「頑張ってねぇー」

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