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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
and truth

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289/307

第二十七話「階」

相手はこの、エレクトロバブルという幻術を知らない。

正直かなりの初見殺しだ。

第一段階は、発生させたシャボン玉が周囲の電気を吸収する。

第二段階では、手の角度を調整してシャボン玉を発射する。

最後に、溜め込んでいた電気を使って、シャボン玉が割れた際に幻術を発動する。

この時、シャボン玉を任意のタイミングで強制的に割る事も出来る。

吸収力や吸収範囲、発動させる幻術を変える事で様々な状況に対応出来る。


「何だ?、、、ノイズが」


シャボン玉を破裂させた時の幻術はおまけに過ぎない。

本命は、あらゆる電気製品を使えなくする吸収の部分。

機械で正確な補助をされているであろうあのパワードスーツも、電力を全て奪われてしまえばただの硬い人形だ。


「お前達のそれと無関係では無いだろうな。ならば」


電力を完全に奪われる前にパワードスーツは後ろへ跳んだ。

このままだと屋上から落ちていく事になるが。


「別の建物」


パリィィンッ!


「いや、この建物の中だね」


窓を割り、この建物の中に避難したのだろう。

私達の幻術の効果がまだ分かっていないのでとりあえず身を隠す事にしたのか。


「壁や天井程度で防げるって思ったー?」


「吸収範囲二十倍!」


範囲内の電気は全て吸い取る。

建物の照明や機械、そして逃げ込んだパワードスーツ。


「「逃げ場なんて無いから!」」




窓を突き破り、建物の二階をパワードスーツが駆ける。

研究棟であるこの建物に人は残っていない。

戦闘に駆り出されたのだろう。


「何か使える物は無いか」


スーツを直せる物でも、武器になる物でも良い。

パチパチ。

点いたままになっていた室内の照明が点滅し、すぐに消えてしまった。


「電力を吸い取っているのか?」


階段を跳ぶように下り、一階に逃げる。

このままではパワードスーツを動かすのに必要な電気も全て奪われてしまう事になる。


「ここもか」


既に部屋の照明は消えていた。

階を隔てたくらいでは逃れられないようだ。


「、、、これなら、使える」


薄暗い実験室の一つから、ある物を見つけ、手に取った。




「そろそろ」


「行っちゃおうかなぁ!」


吸収し続けた電気を含んだシャボン玉を思い切りぶつける。

自分達を巻き込まないように少し離れた部分にぶつけ、屋上に大穴を開ける。

穴に飛び込んで下の階に降り立つ。

破壊の式で範囲内を綺麗に抉り取ったため、建物の破片や残骸はほとんど落ちていない。

おかげで着地は安全に出来た。


「もっと下だね」


階段の方に向かうが、こちらは薄暗い。

大穴から陽の光が入ってきている訳でも、照明が点いている訳でも無いからだ。


「ここにいるのー?」


「逃げても無駄だから出てきなよー!」


わざわざミーセの増援に行かず、追撃をしているのだ、ちゃんと戦ってもらわなければ困る。

二階にもいない。

ならば、一階。

階段へ引き返し、一階へ。

一階にいる可能性が高いので、待ち伏せを警戒しつつ、ゆっくり踏み出す。


「ここにいるのは分かっ」


ドゴォォォォォン!

大爆発の衝撃が全てを吹き飛ばした。

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