第二十五話「転換」
更衣室から外壁まで、全てを氷で破壊した。
イズは氷の上を走り、氷山の頂上に到達した。
「流石、幻視者はスケールが違いますねぇっ!」
間一髪氷を避けたライターは、起き上がりながら皮肉った。
「幻視者はフィルターだけで良いんです!世界を変えられるのはフィルターだけ!僕がついて行くのもフィルターだけ!」
フィルターという言葉を連呼する。
フィルターは幻視者、つまりイズが戦った金髪の男という事になる。
「邪魔はさせません!僕はフィルターに過去を変えてもらわなければならないんです!」
ライターは武器を構える。
イズは右手を前に出し、氷から跳んだ。
「下の参」
見えない風の斬撃がライターを狙う。
ライターは一発撃った後すぐに後ろに下がった。
イズは、空間に直接現れる弾丸の出現位置を予測し、空中で身を捩って回避する。
「横の肆」
一度空中で留まり、体勢を立て直す。
ライターは再び物陰に隠れようとするが、そう何度も思い通りにさせるイズではない。
「上の弐」
強化の式で身体能力を上昇させる。
「下の壱」
巨大な氷の壁からさらに氷を発生させる。
「横の肆」
浮遊を解除すると同時、強化した脚力で氷を蹴り、斜め下向きに跳んだ。
一直線にライターに向かって飛ぶ。
左手には電気を帯びた木刀。
バチバチと激しい音を鳴り響かせている。
「くああああっ!?」
ライターはイズに向かって引き金を引く。
イズは雷刀を振らずに右手の指を三本横に伸ばした。
「横の参」
身体の向きや勢いはそのままに、イズの進行方向が変わった。
「横の参」
直角に方向転換を二回。
右に曲がった後、また真っ直ぐに戻ったのだ。
雷刀はライターのすぐ目の前にあった。
「僕は!フィルターは!ぜっ」
電撃と打撃を同時に食らう。
「あ、が」
「下の肆」
イズは地面に作り出した泥沼に着地しながら言った。
気絶して、聞こえているはずが無いのだが。
「何かを変えたければ他人任せにするな。、、、私に言えた事ではないがな」




