第二十三話「ライター」
雷刀を左手に持つイズ。
直進で相手に向かう。
「直接現れる弾丸はその木刀では防げないはずです!」
イズは特に答えずそのまま突き進む。
男が引き金を引くと弾丸が空間に直接出現した。
イズの身体の中に直接、ではない。
身体を沈みこませるように姿勢を低くして避けていたのだ。
「上の弐」
強化の式でさらに身体能力を上昇させる。
加速し、もはや相手は目の前だ。
電気を纏った木刀を横に薙ぐ。
「がああああっ!?」
打撃と感電で叫ぶ。
跳ねるように飛ばされた男はそのままごろごろ転がる。
「ライターさん!」
「、、、新手か」
積み上げられたコンテナの上、トラックの裏、背後の建物のドアの前など、様々な所から人が現れる。
何の利害があるのか、何の志に呼応したのか、何故かこれだけ多くの構成員がいる。
戦闘の専門家ではないようだが、単純な数はそれだけで武器になりうる。
「、、、増援、助かります」
「ライターさん、俺たちが前に出ます」
「少しでも後ろで休んでいて下さい!」
何人かの構成員がライターと呼ばれた男に駆け寄る。
「いいえ、まだ、戦えます」
荒い息を吐きながら、また、肩を借りながら立ち上がる。
「過去を変える。そのために我々はどんな障壁でも壊さなくてはならないのです!休んでなどいられません!」
ライターは名前の由来と思われる道具を構える。
「私は正義の味方とやらでは無いが、かと言ってお前達を正義だと思う訳ではない」
イズは構成員に囲まれながら言った。
構成員達も流石に警戒しているのか、無理に近付いては来ない。
「行くぞ!」
「一気に全方向から攻撃しろ!」
構成員のほとんどは何の武器も持たず拳で襲いかかってくる。
イズは雷刀を振るい、簡単に数人を薙ぎ倒す。
電流は肉体を通って別の肉体に伝播する。
「あがっ!?」
「怯むな!こっちは三十人近くいるんだ!数で押せ!」
「下の壱」
足元から大きな氷が生み出され、波に押し戻されるかのように集団は下がっていく。
「お前を忘れてはいない」
積み上げられたコンテナの上から狙撃するようにイズを見ていた。
青みがかった髪は見間違えようも無い。
ライターは引き金を引くとすぐにコンテナの後ろに隠れた。
イズはその場で高く跳び、回避する。
そのまま空中で。
「横の肆」
イズは落ちずに留まり続けていた。
「上の肆」
頭上に光の球が出現する。
光の球からは光の弾が発射される。
自動で敵性の人物に照準を合わせているのだ。
「ああああ!?」
「きゃぁぁっ!?」
悲鳴が連続する。
「加減はしてある。死にはしない」




