第二十二話「専念」
金髪の男の右腕には大量のバッテリー。
左手で右腕を支え、掌をミーセに向ける。
半透明の壁は掌の前、自身の正面にある。
どんな攻撃をするにしても邪魔になると思うが、何か考えがあるのだろうか。
「死ぬなよ!」
掌から光の弾丸が連続で発射される。
超高速のマシンガンだ。
電気で形成されていると思われる弾丸は細長く、ライフル用の銃弾に似ている。
やけにだだっ広いこの場所には遮蔽物のような物は無い。
何かしらの大規模な実験や演習を行うための場所なのかもしれない。
ミーセはロープの先のナイフで触れ、弾道を逸らす。
弾き返したり受け止めたりする事は考えず、必要最低限の動きをする事を重視する。
「目で見て弾けるのか。手加減はしなくても良いって事だよな!」
再び連射が始まる。
ミーセは横に走って銃弾の嵐から逃げる。
ナイフを手の中に生み出し、走りながら投擲する。
しかし半透明の壁に阻まれナイフは地面に落ちてしまった。
「飛び道具も使えるまま。壁もちゃんと機能してる」
一つ一つ情報を整理し、詰め将棋のように勝ち筋を模索していく。
流石にミーセ程ではないだろうが、頭が回るタイプらしい。
それにしても、どうして銃弾は半透明の壁を通り抜けるのだろう。
シャボン玉を近付ければ壁の仕組みが分かるかもしれないが、確実にバレてしまう。
私達の目的は偵察。
そして偵察は奇襲のための情報集めが目的。
迂闊な行動は避けたい。
「まだまだあるからな!」
連射と言うより乱射。
ミーセは触手を使って立体的に回避を行う。
「うおっと!?」
銃撃の隙間で触手を伸ばす。
幻視者に直接、ではなく空中に開けた転移の式の穴に向かって。
空間に開いた穴は金髪の男の背後に繋がっていた。
「同時に二つ使えるってのはやっぱり反則だな!」
即座に左に倒れ込んだ事により、背後からのナイフを躱した。
幻覚や幻術だけでなく、戦闘センスの高さも厄介だ。
ミーセは深追いせずに触手を穴から引き抜き、体勢を整える事に専念する。
次の連射が壁に張り付くミーセを襲う。
壁に無数の穴が開き、スポンジのようになってしまった。
ミーセはナイフで弾きつつ地面に向かって跳んだ。
「反撃の隙は与えない!」
ライフル級の威力を持つマシンガン。
少しでも当たれば大きなダメージを受けてしまう。
いくらミーセでもそんな物をいつまでも相手出来ない。
「私達が動くなら」
「ここしか無い!」




