第八話「間近」
「ミーセ・ラブゼアン」
ミーセは拘束され、手足は動かせず、声も出せない。
「キミが欲しい。キミが必要だ」
暗い部屋にはミーセともう一人。
同じように誘拐された訳ではなく、誘拐犯サイドの人物だ。
「島の血族。その頭脳があればきっとオレの夢は叶う」
部屋に一つだけ置かれた椅子に座って語りかける。
ミーセは、その男に見覚えが無い。
何の目的でミーセを欲しているかは分からない。
そもそもミーセは非常に高い頭脳、圧倒的な美貌、多岐に渡る人脈、莫大な資産を持っている。
大抵の大いなる目的に役立つだろう。
「別に手荒な真似はしたくない。素直に応じてくれれば誰も傷付けないで済む」
聞こえは良い言葉だが、結局は、従わなければ何をしてでも従わせる、という事なのだ。
「そう言えば、話せないんだった。悪い悪い」
猿ぐつわを外すと再びミーセに問いかける。
「従う気はあるか?キミは賢い。どうすれば良いか分かるだろ?」
「、、、目的を詳しく教えてくれる?分からなきゃ判断のしようが無いからね」
あくまで弱い部分は見せず、強気の交渉を行おうとするミーセ。
「まぁ良いよ。、、、オレ達はタイムマシンを使いたいと考えている。キミにはタイムマシンの改造を頼みたい」
「タイムマシン?どうしてそんな物を?」
「そこまでは教えられないね。さ、早く決断してくれ」
男はミーセの前でしゃがみ、顔を間近にした。
「ボクは、、、」
その時、大きな警告音が鳴り響いた。
「はぁ、、、どうやら侵入者みたいだ。もう少し考える時間をあげるよ。侵入者を片付ける一瞬の間だけね」
男はそう言って去っていった。
「助けに来てくれた?」




