第七話「拷問」
「殺さないでおいた。後は好きにしろ」
イズは、泥沼を抜け地面にボトリと落ちた男を見て言った。
男は炎に焼かれたショックで気を失っている。
「流石に殺しはしないよ」
「ただちょっと腕を焼かせてもらうだけ」
左腕に入った式陣の刺青。
一部だけでも破壊すればこの幻術は機能しなくなる。
「おーうい、大丈夫だったかーい!」
伊寄さん、海乃さん、睦規さん、時晴が合流する。
スマホで位置情報を送り、増援に来てもらったのだ。
イズ以外はすぐに来なくて良いと連絡しておいた。
狭い所に何人も呼ぶと動きづらいからである。
「時晴、コイツは幻術、しかも転移の式を使ってたよ。多分飛行機の中に紛れ込んでミーセを転移させたのはコイツ」
「連れ去った証拠が残ってないか確認するために戻ってきたんだと思う」
「それで、時晴。コイツの式陣を焼いて」
時晴はその言葉を聞いてギョッとした。
「ブレイズフィストなら必要な部分だけ焼いて式陣を壊せるから」
式陣とは幻術を固定するための図形。
式陣なら転移の式や破壊の式は使用者の演算装置を使わずに発動出来る。
「、、、分かった。やってみる。しょうがない事だよな、、、」
正直気乗りはしていないようだ。
「結構えげつない事するねぇ」
「でもでも、右腕に同じ式陣を描けば復活しちゃうんじゃないの?」
海乃さんの言う通り、右腕というキャンパスを使えば簡単に同じ攻撃を出来るようになるだろう。
「ま、その時はまた私達で倒しますよ」
「何回もやってたら描く場所無くなっちゃいますけどね」
幻想科学を民間人から隠蔽する警察の特殊部署、コードイマジン。
コードイマジンを呼んで拘束しておいた男を引き渡す予定だが、その前に。
「拷問、始めちゃいますか」
拘束された男は既に意識を取り戻している。
「ミーセ・ラブゼアンをさらったのはアンタ?」
「ああ。俺が転移の式で連れ去った」
案外素直だ。
「次。どこに連れ去った?」
「言わねぇ」
今一番欲しい情報は教えてくれないようだ。
「もう一度聞くよ。ミーセをどこに連れ去ったの?」
「言わねぇ」
やはり痛めつけないと話さないらしい。
「時晴」
「、、、あぁ」
時晴の右の拳が燃え盛る。
そして男の左腕の刺青を焼き始めた。
「ぐ、あああああああっ!?」
ブレイズフィストという幻術は燃やしたい物だけ燃やす事が出来る。
必要以上に傷つけたくない拷問にピッタリの幻術だ。
「次はもっと長く、もっと熱い炎にするよ」
「ちなみに、話してもらえれば減刑してもらえるからね。正しい情報を出来るだけ多く言うと良いよ?」
指で合図を出し、再び時晴に焼かせる。
「ああああっ!?わがっだ!ばなず!ばなずから!」
睦規さんは思わず言葉を発した。
「十六歳とは思えない外道だな」
「「褒め言葉どうも」」




