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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
and truth

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第五話「急ブレーキ」

壁の、男の左腕に触れた部分が音も無く消滅した。


「あの左腕はヤバそうだね」


「大丈夫、私達が守るから」


怯える男の子を抱えてひたすら路地の奥に入っていく。

見た限り左腕、、、の指かな。

指に触れたらクレーターのように穴が空く。

恐らく人体に触れても同じように破壊されてしまう。


「俺からは逃げられねぇぞ!」


「「なっ!?」」


眼前にさっきの男が立っていた。

急ブレーキを踏むように滑りながら止まり、逆方向に切り返す。


「何で先回りしてんの!?」


「もしくはそっちも双子か!」


「ハッ!そうかもな!」


いや、冗談だけど。

言い方からして双子説は無さそうだ。


「近付くのは危険」


「でも離れようとしても先回りされる」


ここは狭い路地なので先回りされるという事は逃げ場を塞がれるという事。

さらに誰かと連絡を取ろうにもそんな暇が無い。

転移の式を使っている間に他の幻術を使えないため無防備になってしまう。

つまり考え無しに転移の式で逃げるのは得策ではない。

また、男の子を守りながらでは万全の状態で戦えない。

ピンチ。


「まずは相手の分析」


「どういう攻撃、どういう移動方法かを調べる!」


最初に接敵した地点に戻る。

壁がどのように壊れているか少しでも見られたら。


「よっと、こっちもダメだぜ」


壁の壊れ方を見る前に男に出くわしてしまった。

左腕を乱雑に振り下ろしてくる。


「ふぅんっ!」


近くに落ちていた石を思い切り蹴飛ばした。

石はまっすぐ左手に飛んでいく。


「意味ねぇよ!」


左手に触れた瞬間石は消滅してしまった。

手にダメージも無いようだ。


「やっぱりあの左手と正面から戦うのは無理そうだね」


「じゃあ得意の外道な戦い方で行くよ!」


まずはこの路地から脱出する!

要は無防備であるとバレないように転移の式を使えれば良いのだ。


「ここに伏せててね」


「エレクトロバブル、吸収範囲二十倍、破壊の式」


伏せている男の子の上で手を重ね、シャボン玉を生み出す。


「何だ?」


警戒しているようだ。

周囲の電力を吸い取り、シャボン玉に込める幻術。

しかし、破壊の式ではなく、本当は転移の式。

わざわざ今から使う幻術の種類を正直に言う必要は無い。

電力は溜まった!

周辺住民の皆さん電気を使ってごめんね!


「「おりゃっ!」」


真下に向かってシャボン玉を射出した。

同時に、一瞬で近くの雑居ビルの屋上に転移した。

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