第二話「羅列」
今日はミーセが日本に来る日だ。
活動の拠点を日本に移すにあたって、世間に公表する理由が必要だった。
表向きには日本が好きで住んでみたかった、という事になっているし、それも間違いではない。
本当の理由は日本の幻想科学研究所で研究をするため。
しかし、それすらもカモフラージュで本当の本当は時晴の近くに居たいだけ。
恋する乙女の行動力を侮ってはいけない。
「そろそろじゃーあないかい?」
電光掲示板を見ながら伊寄さんが言った。
そう言うと共に、飛行機の利用者達がぞろぞろと湧き出てきた。
「変装とかしてるのかな?」
「いるだけで大騒ぎになると思うし」
ミーセ・ラブゼアンと同じ飛行機に乗っているという事実だけで失神する人も出てくるかもしれない。
「ま、向こうから来てくれれば問題無いだろ」
時晴の言う事にも一理あるが、素直に肯定するのは癪なので何も言わない。
そうこうしている内に、人の波が収まってきた。
「あれー来ないねー」
海乃さんは伸びながら奥の方を覗いている。
ついに最後と思わしき利用者が出てきた。
その後ろに出てくる気配は無い。
「電話してみましょう」
「飛行機に乗ってないなら出るかも」
スマホを取り出そうとすると同時、着信音が鳴った。
「あれ?私じゃない」
もう一つのスマホも確かめてみるが、やはり違う。
「あ、わたしだ」
海乃さんのスマホだった。
機種が同じなので紛らわしい。
「ミーセちゃんだもしもーし」
スピーカーモードに切り替えたらしく、声が大きく聞こえる。
「はっ、はっ!何者かに!追われてる!はぁ、はぁ、ここがどこなのか分からない!」
「ミーセ!?無事なのか!」
時晴はスマホに叫ぶ。
「演算装置は奪われた!確認出来る追っ手は一人!白いパワードスーツを着用していて性別はふめ」
ミーセの声が途絶えた。
「おいっ!ミーセ!どうした!」
「もう切れている」
ミーセに何があったのか。
「助けに行こう」
「ミーセが危ない」
「場所すら分からないのにか?」
イズは冷静に判断する。
確かに、場所が分からなければどうしようもない。
「海乃、さっきの通話内容をもう一度再生してくれ」
睦規さんは何か考えがあるのか?
「うん出来るよ」
「時晴はミーセが飛行機に乗ったかどうかを聞いてきてくれ」
「はい!」
スマホには通話録音機能がある。
それを使えば何度でも内容が聞ける。
「、、、だもしもーし」
「はっ、はっ!何者かに!追われてる!はぁ、はぁ、ここがどこなのか分からない!」
「ミーセ!?無事なのか!」
「演算装置は奪われた!確認出来る追っ手は一人!白いパワードスーツを着用していて性別はふめ」
メリ。
余計な言葉無しで情報が羅列されている。
白いパワードスーツに追われていて、演算装置は奪われて使えない。
どこにいるかも分からない。
「最後、何かが割れる音がした」
イズが気付いた。
「、、、だもしもーし」
「はっ、はっ!何者かに!追われてる!はぁ、はぁ、ここがどこなのか分からない!」
「ミーセ!?無事なのか!」
「演算装置は奪われた!確認出来る追っ手は一人!白いパワードスーツを着用していて性別はふめ」
メリ。
「うん、やっぱり何か割れたね」
「スマホかもしれない。音とほぼ同時に通話が切れた」
「壊れたって事ですか」
「もしくは壊されたか」
ますます危険度が上がった。
他に手がかりは無いのか。
特に場所に関係する手がかりが。
「無事だと良いんだけどねぇ」




