第一話「全速力」
チャイムの音が鳴り響いた。
いやー、やっと終わったよー。
終わったねー。
「あ、そうだ。アワリ、アワナ。この前貸した資料集返してよ」
「「あっ」」
家に忘れちゃった。
忘れちゃったよ。
「明日でいい?」
「でも明日土曜じゃん」
「はぁ、、、月曜でいいよ」
「「ありがと!また来週!」」
走れ走れー!
さっさと帰ろー!
整備された道を二人で全速力。
すると。
「「わっ!」」
曲がり角で出てきた人にぶつかりそうになる。
二人でぶつかればひとたまりもなかったかもよ。
ん?
ん?
「僕はもう終わりだ、、、ああ、サキコちゃん。」
、、、大丈夫かな?
ぶつかりそうになった事にも気付いてないよ。
フラフラと、ガックリとしながら行ってしまう。
「失恋でもしたのかな?」
「すごい落ち込み方だね」
一度振り返ってみる。
橋の上から川を見ている。
身を乗り出して。
、、、って、まずいよ!
「「あぶなぁぁぁい!」」
カバンを適当に放り投げ、橋の方へ走る。
「こんな僕は死ぬしか無い」
間に合え!
タァァァァックルゥゥッ!
「がっ!?」
ふぅ、間に合ったよ。
何とかね。
地面に倒された男はややパニックになってじたばたしている。
「どうして邪魔をするんだ!僕は死にたいのに!」
「「簡単に命を捨てようとするな!」」
二人でこの男に言ってやる。
「あなたが死んでも何の意味もない!」
「ただの自己満足よ!」
「誰も得なんてしないんだから!」
「ちゃんと生きろ!」
二人がかりで掴みかかる。
そこへ。
「よくやった!そのまま抑えといてくれ!」
誰?
私達が来た道とは逆方向から一人の男が走ってくる。
手にはせんべいくらいの大きさの円盤を持っている。
「やっと見つけたぞ!断片!」
私達の前でブレーキをかけたように止まり、円盤を男の額に突き出す。
「「わっ!」」
円盤が、額から出てきた黒いもやのようなものを吸い込んでいく。
吸い込み終わったのか、もやが無くなると、死にたがっていた男は気を失った。
なんなのよこれ。
「ふぅ、助かった。何とか一つ目ゲットだ」
「「誰?」」
スラリとした男に尋ねる。
「俺は能登時晴。幻想科学研究所の研究者だ」




