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第二十一話「走り出す」
色々な事があった。
それらは、無くなる。
陽三の方に向き直り、服の中に隠しておいたナイフを取り出し、カバーを外す。
小型ナイフとはいえ、ばれるかもしれなかったが、なんとか大丈夫だったようだ。
父さんの物と思われる、キャンプなんかに使うためのナイフだ。
「見てろよ歴史の目!お前でも分かるくらい過去を変えてやる!俺が前世を殺してな!」
陽三の方を向く。
走り出す。
死へ。
無へ。
俺と周防頼我が消えた世界へ。
「おおおおおおおおおっ!」
陽三は叫ぶ。
俺は走る。
ナイフを腹に刺した瞬間、視界が揺らぐ。
どんどん歪んで、薄くなって。
消えた。




