第十六話「整理」
「ねぇショウヤ」
陽三は、一度家に帰ると言ってこの場を離れていた。
「ん?なんだ?」
「素直に答えて。ショウヤはどうするの?」
これからの計画を聞くだけなのに、素直に、とはなんでだ?
「、、、いや、何か手がかりがあるかと思って会ってみただけだから、これからどうするってのは、、、」
カズサは俯いて言う。
「、、、ちゃんと答えて、、、ちゃんと答えてよ!ワタシ、、、知ってるんだよ。ショウヤは、、、陽三さんを殺して、消えるつもりなんでしょ!」
声は震えていた。
気付いていたのか。
いつだ。
思ったよりも頭が回るのか。
俺と陽三が話していたのを未来の機械か何かで盗み聞きしていたのか。
色々と可能性を考えていたが、カズサは沈黙を肯定と受け取ったらしい。
「、、、やっぱりそうなんだね。、、、なんでそんなことするの!他に方法があるかもしれないのに!どうして見ず知らずの人達のためにそこまでするの!」
こちらを向いたカズサの眼からは涙が流れていた。
今からでも否定して欲しいとでも思っているのか。
「、、、決めたんだ。誰も傷付けさせたくない。止められるやつが止めなくちゃいけねぇんだ!じゃなきゃ俺は一生後悔する!俺がテロを止める!他に方法なんて無い!俺に出来るのはこれだけなんだよ!周防頼我をいなかったことにして、全部無かったことにして、、、全員救う!」
どんどん勢いが強くなり、早口になってしまう。
トーンを落とす。
「、、、そのためなら、俺は悪役にだってなってやるって、、、決めたんだ」
涙に濡れていたカズサの眼がぐらりと揺れたような気がした。
「そんなのダメ、、、。ショウヤは悪役なんかじゃない!アナタはアナタの人生の主人公なの!」
「ふ、主人公か、、、。もし俺が主人公なら、、、これから俺が成し遂げるのは、誰も悲しませないバッドエンドだ!」
両手を広げ、空を仰ぐ。
見えるのは明治の空。
薄汚い工場の壁。
俺と周防頼我の消えた世界。
楽しくて笑顔になってしまっていた。
「うぅっ、、、」
後ろから陽三がカズサをスタンガンで気絶させる。
渡しておいて正解だったな。
そしてタイミングも完璧だ。
「カバンにスタンガン入ってたから使わせてもらったぞ」
手を下ろし、思う。
カバンの中はちゃんと整理しておくべきだったな。
何かが無くなっても気づけないだろ。
「未来にはこんな恐ろしいものがあるんだな」




