第十三話「アンラッキー」
さんちゃんのナビに従って明治時代の街をしばらく歩いていた。
「ショウヤの前世の名前は島陽三。六十八歳。もともとの死因は持病の発作。そして来世はショウヤ。情報って言ったらこんな感じかなー」
シマヨウゾウ。
アンラッキーなじいさんだ。
「そんだけ分かれば十分すぎるくらいだ。って、早速あそこにいるのが島陽三じゃねぇか!?」
街を探してまだ十五分くらいしか経っていない。
割と早く見つかってくれてラッキーだ。
カズサによると、あのタイムマシンは対象人物の現在地から十七キロメートル以内の、人が少ない場所に転送するようになっているらしい。
近くで助かった。
「ホントだ!どうするの!?」
カズサも見つけたようだ。
白髪で、やや腰が曲がっているが比較的元気そうな老人を。
「翻訳機のスイッチ入れといてくれ。とりあえず話してみる。なぁ、あんた」
左肩側から声をかける。
「ん?なんだお前さんたちは?」
さすがに少し不審がりながら振り向く。
「ああ、ごめん、ちょっと話があるんだけど」
話があると言うと、場所を移す事を提案してきた。
人があまりいない近くの工業地帯っぽい所に行く。
「えっと、島陽三さんで合ってるよね?」
写真と全く変わらない。
双子とかじゃない限り合っているのは間違いない。
「、、、合っているが、だからお前さんたちは誰なんだ?」
「驚かないで聞いて欲しいんだけど、俺たち未来から来たんだよ」
本当に驚かないので状況説明がしやすかった。
「、、、と言う訳なの」
「なるほどな。大体分かった」
「妙に物分かりがいいな」
「自分で言うのもなんだが、ワシはかなりの天才でな。理解力は有るつもりだ」
「そりゃ助かる」
技術者とか学者とかだったのかもしれない。
さすが俺の前世、優秀だ。
「カズサさんと言ったか、少し席を外してはくれないか」
うん?
急にどうしたんだ?
「う、うん」
戸惑いながらも遠くに歩いていくカズサ。
カズサが角で曲がったのを確認してからこちらに向き直る。
「翔也君よ、ワシの死因はなんだ?」
「ちょ、いきなりどうしたんだよ!?」
未来の事を聞きたいのは分かるが、最初に死因を聞くとは思わなかった。
しかも、カズサに聞かれないように。
「お前さんは、ワシに死んで欲しいんだろ?」
こいつ。
やはり天才で、、、俺の前世だな。
俺の思惑を見破った。
「、、、死因は持病の発作、かなり急だったらしい。そして、その通りだよ。俺はあんたを殺しに来た」
「俺は、ってことはカズサさんは知らないのか?」
確認のつもりだろう。
あいつが知っている訳が無い。
「ああ。あいつが心配する前に終わらせる。、、、というか、あんたは怖くないのか?自分を殺そうとしているやつが目の前にいるんだぞ?」
「お前さんたちが話してくれた、テロとやらでたくさんの人が傷つくんだろう?なら、ワシが少しばかり早く死んでしまった方がよっぽどいい」
物分かりとかそういう次元じゃない。
こいつは死ぬのが怖くないのか。
「、、、あんたすげぇよ。こんだけ言っても受け入れてくれるなんてよ」
「なに、大した事じゃない。お前さんと同じだ。、、、さっ!カズサさんとこに戻るか!」
カズサにさよならを言ってこい、とでも言うかのように歩き出す。
、、、同じ、か。
島陽三にも家族はいるだろうし、やりたい事だってまだたくさんあるだろうに。
無駄にはしない。
全部。
変えてやる。




