第十二話「本当だ」
他の人から少し浮いた服装で明治時代を歩く。
街や人々を見ると本当にタイムスリップしたというのが、実感出来る。
「そう言えば、カズサは何でテロを止めようとしてるんだ?、、、まぁ、止めるのは悪いことじゃないけど、何か他に理由があるのかなって」
「、、、私はね、あのテロを目の前で見てたんだ。爆発は届かない場所だったけど、たくさんの人が苦しんでるのは分かった。あの周防頼我を止めるために、ちゃんと調整出来てないタイムマシンを無断で使ったの」
前世か元の時代しか行けないという超不便設定は、調整中だったからか。
「後悔は、してないんだろ」
「うん」
カズサは小さく頷く。
見ていた。
目の前で人の命が消えていくのを。
どれほど辛いか。
「、、、だったら、ちゃんと未来変えて皆助けようぜ。そしたらチャラだ」
自分で言っていて、空っぽだと思った。
「ありがとうねショウヤ。こんなワタシに付き合ってくれて」
「なんてことはねぇよ。俺はただ、人が死ぬのが嫌だっただけだからな」
それは、本当だ。
俺が二歳になって間もない頃、父さんは働いていた工場で起こった爆発事故で大怪我を負った。
父さんの誕生日の三日後、俺が二歳と七ヶ月の時、静かにこの世を去った。
父さん、と本人に向かって言う事も無かった。
小さかった俺でもとても悲しんだ。
死の概念もろくに理解していなかったのに。
母さんは俺の何倍も悲しかったはずだ。
あれから十五、六年くらい経った。
母さんは必死に俺を育ててくれた。
俺は。
未来の死を。
消す。




