第十一話「近くにいる」
「うぅ、、、。ここは?」
なんとなく煙くさい。
水が流れる音もする。
ここは。
「前世の時代だよ」
周りを見渡すと、河川敷のようだ。
人は近くには見当たらない。
やや遠くに見える街並みは授業で見た教科書の写真と似ているような気がする。
「ちゃんと来られたのか。、、、おいカズサ!意識無くなるって直前に言うなよ!もっと心の準備が出来るようにだな、、、」
、、、ズボンは濡れていないだろうか。
、、、川の水で。
「はいはいごめんなさい。それはそうと、これからどうするの?」
あまり心のこもっていないごめんなさいの後、どうするかと聞かれる。
「とりあえず、前世のじいさんに会いに行く。、、、場所分かるか?」
カズサが調べるのに使うのは、もはや恒例となったあの機械だ。
俺はこの機械、三面鏡型パソコンに、さんちゃんという名前まで勝手に付けてしまった。
心の中で。
「えっと、ここからそんなに遠くないところにいるみたい。行ってみる?」
「そうだな」
俺の前世はこの近くにいる。
河川敷に咲く小さな赤い花を踏まないように立ち上がる。
明治時代の街に向かって歩き出した。




