第八十五話「その間に」
腰を落とし、脚のバネを使って。
「ダァァァァァァァッ!」
上野は二重の右手で応じる。
「がぁぁっ!?かってぇっ、、、!?」
電気のバリアは赤黒い手を砕く。
貫通して本物の手がメキメキと音を立てる。
幻術で硬化していなければ、手首まで砕けていただろう。
「二重じゃ足りねぇのかよ、、、」
上野は左手を三重にする。
「三重でも足りないかもね」
不安を煽り、恐怖を根付かせる。
少しでも動きを遅くする。
「もう一度行くよ!」
休む暇は与えない!
後ろは盾で塞ぐ。
腰を落とし、脚のバネを使って。
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
左手と左手がぶつかる。
一つ目の手が砕け散った。
上野の右の拳を屈んで避け、すねを蹴り飛ばす。
その勢いで後ろに跳んで。
盾を使って突進する。
腕で衝撃を受け流されたが。
その間にナックルエレキを解除して強化の式で壁を蹴り、上野の顔を狙って跳ぶ。
拳自体は顔から生えた手によってガードされるが、その間に。
盾を空中に残し、強化の式百三十パーセント。
「どりゃゃゃゃゃゃゃっ!」
「なっ!?」
顔から一本、左手に重なる一本。
元の腕はフリー。
「くは、やるなっ!」
この左拳は左腕で受けられるだろう。
これも想定内。
殴らずに掴む。
そして手前に引いて崩す。
上野は私達のペースにはまっている。
このまま勝つ!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
上野は掴んだ左手を赤黒い手でさらに掴む。
身体を反転させ、無理矢理腕を振り上げ、身体が浮く。
「ちょっ」
浮いて天井と上野に挟まれた、避けられない。
顔の手に掴まれたこっちも壁に挟まれちゃってるね。
つまり。
「右手がフリー!逃げ場も無し!殴り放題って事だ!」




