第八十話「上野は」
「「どりゃどりゃどりゃどりゃどりゃーっ!」」
強化の式とナックルエレキを使った超高速連打。
さっきから掠りはするが、直撃はしない。
上野は、避けられない攻撃は硬化した腕で受け止め、避けられる攻撃は避けたり、受け流したりする。
やっぱり戦闘の専門家ってだけあるね。
別に褒めてる訳じゃないけど。
「そろそろつかれはだろ?休憩するか?」
「そっちこそ」
「完全食でも食べながらのんびりしなよ!」
肩から生えた腕が顔を狙う。
当たれば骨折以上。
避けるだけの時間は無い。
インビジブルポケット!
「あが!?」
自分の拳が自分の腹に激突する。
強化の式を切ったが、今のうちに下がれば問題無い。
「どうしたの?」
「お腹でも痛い?」
「くく。あぁ痛いぜ」
完全食バーを赤黒い左手で持ちながら喋る。
手で腹をさする。
「、、、楽しいなぁ戦いは。アポトーシスってのはな、戦い好きのならず者たちの集まりなんだ。分吾は戦術とか技術とかが好きだし、利得は相手との力の差を楽しんでる。サドリアは戦いを上から指揮するのが得意だ。イズと解理は、、、分かんねぇけど。で、オレは戦いの結果が好きなんだよ。ギリギリ勝ったってのが一番良い」
「ダラダラ何を言ってるかと思えば」
「ただの仲良しこよしのお話?」
「あぁ、そうだ。分吾と利得が捕まってアポトーシスも少なくなっちまった。別に恋人とか親友って訳じゃねぇが、仲間だったんだよなぁ」
上野はどこか寂しそうに語る。
「仇討ちになるのにさぁ、それよりも楽しさが勝っちまうんだよ」
上野は笑う。
「楽しんでくれるのは結構」
「でも勝つのは私達よ」
上野は完全食バーを再び咥える。
「いいあオレだ」
バッテリーはまだある。
体力も、何とか。
そろそろ勝つための作戦を考えていかないと。
色々試してみるしかない。
「インビジブルポケット!」
ナックルエレキは解除。
取り寄せたのは透明な盾。
警察が使うような超硬質シールドだ。
「でいっ!」
幻術によって硬化した腕を受け止める。
割れない。
どちらも。
強化の式無しだとかなり押される。
「それじゃ攻撃出来ねぇんじゃねえか?この狭い地下通路じゃ一人が守っへ一人が攻めるなんへのも無理だしな」
何度も攻撃を受ける。
その間、私は距離を取る。
確かめたいのは通り抜ける力だ。
確か、上野は研究所のロックを腕で解除した。
その日、比田井がいた事も踏まえると、視界泥棒によって解除方法を盗み見て、上野の腕で外側から開けたという事になる。
服を貫通して腕が生えることからも、あの腕には物を通り抜ける力があると言える。
「その腕、硬くしてると通り抜けられないの?」
「教えねぇよ」
流石にそこまでバカじゃなかったか。
研究所で海乃さんの指揮棒を貫通して攻撃しなかった。
と言うか、常に通り抜けるなら殴る事も、ロック解除の時タッチパネルに触れる事も出来ない。
一部だけ実体化出来る?
腕は何でも通り抜けられない?
あー分からん!




