第七十八話「異質」
拳と拳がぶつかり、弾かれる。
着地した頃にはもう床は沈まなくなっていた。
上野は半袖パーカーのポケットから完全食バーを取り出し、袋を開け、咥える。
「こういうのっへ運命のであひっへ言うのかねぇ?オレはおまへたひと戦ひたくへ仕方無かっはんだよ」
「あなたにモテても嬉しくないです」
「ミーセ辺りで我慢しな」
上野は完全食を一口食べ進める。
「「インビジブルポケット」」
式陣が描かれた拡張バッテリーを取り寄せる。
紙を貼り付けてるだけの。
かっこよく装着。
「オレもはぁ、強くなっはんだよ。おまへたひに勝てるようになぁ。やっとイズからもらっはんだぜ、幻術」
上野はベルトのバックルに取り付けられた演算装置のボタンを押す。
大丈夫、何が来ても避けられる。
ナックルエレキ。
強化の式百二十パーセント。
「すげぇだろこれ?イズお手製のべるおだ」
演算装置を作るのはイズ。
若草も、もらったと言っていた。
つまり、イズは演算装置や式陣を作り出し、他のメンバーに使わせているという事か。
上野の四本の腕の質感が変わっていく。
色や形はほとんど変わらないのに、異質な雰囲気を感じる。
「じゃ、そおそお戦うか」
上野が勢い良く駆け出す。
あの腕がどうなっているかは確かめてみる事でしか分からない。
「たぁっ!」
電気のバリアが生身の左手と激突する。
かた!?
バリア越しにでも分かるこの硬さ。
この幻術は硬度を変えるのか。
「硬ぇだろ?おまへたちに対抗しへ硬くする幻術にしてもらっはんだ」
「真似するなよォォォッ!」
何度も交差する。
硬さはほぼ同じ。
スピードは私達の方が上。
パワーは上野の方が上。
いや強化の式無しでもこのパワーは反則。
「そえにしへもさぁ、ここっへ狭くへ戦ひづらいよなぁ?イズはこの方が良いっへ言っへたけどよぉ」
そんなの知るか。
そっちが勝手に決めた作戦でしょ。
ま、どんな作戦で来ようとも私達は勝つ。
と言いたい所だけどね、、、。
戦いづらいのは事実なんだよね!




