第七十七話「沈み込む」
駅は山に面している。
都会と自然の調和のある街。
「変わった街だよねー。田舎でも都会でもあるって感じ」
「日本は元々森林とか多いからな。一時期はかなり森を切り開いたりしてたらしいけど、植林が進んで里山を増やせたんだってさ」
なるほど。
私達にとって当たり前と言えるこの街も他の国や地域では違っているのか。
「そろそろ駅だよ」
「アポトーシスは来るのかな」
駅に入るために地下通路に繋がる階段を降りていく断片。
ドタドタと急いでいるので転びそう。
取引とやらがそんなに重要なのか。
ゆっくり後を追う。
「やぁ部長殿」
取引相手か!?
地下通路で取引を始めるのか。
歩みを止める。
「例の件本当なのか!うちの会社に不正があったってのは!」
「まぁまぁ、大きな声を出すな。聞かれても良くない」
下まで行かず、バブルオブザーバーで様子を見よう。
白い髪をきちんと整え、スーツと言うより礼服と言った感じの服を着た年配の男。
年齢は感じるが、弱った様子は無く、背筋も伸びている。
それに、、、外国人っぽい。
英国紳士みたいな印象を受ける取引相手だ。
後ろにはフードを被った男。
紳士の後ろにいて、フードを被っているので顔までは分からない。
「私達も行こう」
だが、あれは。
「アポトーシスよ」
時晴とミーセは半分驚き、半分納得した。
階段を降りながら互いの姿を確認する。
先手必勝!
「やっぱり来たな!外道の双子!」
「「今度こそ捕まえる!上野途作!」」
強化の式二百パーセント!
階段の途中から奥の上野まで跳ぶ。
「では、第二プランを実行する」
英国紳士は通信機らしき物をポケットから取り出し、ボタンをノールックで押す。
同時に断片に急接近する。
「何だ!俺には仕事がうぉっ!?」
状況を理解出来ない断片の足元が沈み込み始める。
老紳士は断片と共に沈んでいく。
上野は離脱する際こうやって沈んでいた。
空中にいる私達にはどうにも出来ない。
「ミーセ!俺らも行くぞ!」
「うん!」
沈み込む床に入る。
ゆっくりと沈んで、飲み込まれていく。
「アワリ!アワナ!そいつは頼んだぞ!」
「「了解!」」
上野の赤黒い拳二つと私達の拳が激突するのと同時に四人は消えた。




