第七十五話「言う」
「ミーセってずっとロシアに住んでたのに日本語上手いんだな」
「えへへ。お母さんが日本人だから教えてくれたんだー」
ダッシュスクーターが風を切り、耳からは時晴とミーセの話し声。
この状態が二十分続いていた。
早く着かないかな。
「あ、この会社だな。駐輪場ねぇかな」
流石に会社の駐輪場は使えないので、近くの駐輪場に停める事に。
「大きいビルだね」
「一流企業なのかも」
入口付近の看板にはロゴがあった。
株式会社プログラムビンゴ。
「「お父さんが働いてる会社だ!」」
「はー偶然ってのはすごいもんだな」
「言ってる場合か!」
「私達が幻想科学研究所に協力してる事も幻術とか幻覚でアポトーシスと日々戦ってる事も言ってないんだよ!」
「これを機に言っちゃったら?悪い事はしてないんだし」
言うか?
いや、言えば心配してもう行かせないと言いかねない。
じゃあこの会社で起こるだろう騒動を隠し通せるか?
それは無理だと思う。
アポトーシスが現れ、戦闘になる可能性はかなり高い。
「おーい、大丈夫かー?」
目の前で手をパタパタと振られて意識が現実に向く。
「悩んでも仕方無いぞ。さっさと回収した方が早いって」
「、、、そうね」
「悪は急げって言うし」
「言わねぇよ!善じゃねぇけど悪でもねぇよこの活動!」
「アポトーシスが攻撃してくるんだから正当防衛で無罪!」
そんな事を言いながら会社に正面から突入。
そして思う。
「で、断片はこの会社の誰?」
「全員調べるの?」
「大丈夫、時晴の事だから考えが」
「無いんだよなー、、、」
考えていそうで考えていなさそうで実は考えているふりをした考えていない人だからね時晴は。
唸りながら考える時晴とミーセ。
何か手がかりがあれば調べやすいんだけど。
お?
「あった。あったよ手がかり!」
「どんなの?」
「お父さんの上司!最近仕事の方針が変わったって!」
「ふむふむ」
いやこれで察してくれよ。
「だからー、上司が今までと違う性格になったのかも、って事」
「「あー」」
「あーじゃねぇぞ思考停止してたのか」
時晴とミーセの腹にストレート。
ミーセにはするりと避けられる。
「わ、分かってる分かってるって。お父さんの上司を当たってみるか」
君にお父さんと呼ばれる筋合いは無い。
「でも上司なんて知らないよ」
ミーセは人差し指を立てて言う。
「お父さんの近くを見てみたら?」
そんな事をしたらお父さんに気付かれて、、、。
「そっか!」
「バブルオブザーバーで偵察するって事ね!」




