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これは狐の妖怪のお話です。

作者: おもち

僕が住んでいるのは小さな町です。


小さな町って独特ですよね。


その土地の噂っていうか、都市伝説みたいなのあるじゃないですか。


一般的じゃないし有名じゃないし作り話みたいなやつです。


うちの町にも、夕暮れ時になると悪い狐が出てきて子供を連れて行くっていう都市伝説があるんです。


もちろん、子供が夜遅くまで遊ばないように、お家に帰るように促す教訓じみた作り話です。


それでも年寄りから若者や幼い子供に至るまでなんとなく信じてます。


お狐様が出るから帰りなさい。お狐様に攫われる前に帰ろう。お狐様が出る前に帰ってくるのよ。


とても聞き馴染みのある言葉です。


このお狐様、元々はお社を持った力のある神格化されたものだったらしいです。


それが人間に忘れられ、信仰心を持たない人達にお社を壊された。そして悪い狐の妖怪になってしまい、子供たちをさらうそうです。


「隣のお家の美咲ちゃんが帰ってきてないんですって」


母が顔を青くしてそう言ってきました。


近所総出で捜索です。


小さな町だからみんな協力的です。


学校に連絡してみると、美咲ちゃんは大分前に帰ったそうです。


友人や近所の人たちも美咲ちゃんの姿を見てないそうです。


ぞっとするような気持ちと半信半疑の気持ち。もしかしたら、まさか。


そんな感情を抱きながらお狐様のお社へと行きました。


小さなお社はお狐様を鎮めるために改めて建てられたものです。


しかし、一度人間に裏切られたお狐様の気持ちは鎮まることなく、今も悪い狐として噂が残っているのです。


お社の前には美咲ちゃんが着ていた服や靴、鞄などが無造作に転がっていました。


「ああ!そんな!」


美咲ちゃんのお母さんはそれらを抱き締めると泣きじゃくっていました。


お狐様の仕業だ。信仰心って大切なのかもしれない。そう思いました。


「ねぇ、美咲ちゃんはどう思う?」


裸で柱に括り付けられた彼女は震えながら泣いていた。


猿轡を噛ませているので答えることはできない。


「人間の方が怖いって早く気付けばいいのに」


そう言いながら僕はベルトに手をかけた。


ああ、怯える彼女はなんて可愛いんだろう!

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