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スライムマスター   作者: ロータス
4/24

第4話 スキル:スライム精製

「とりあえず腹が減った」


思えば昨日から何も食べてない。


タイチは食べ物を探すことにした。


まずは洞窟の外に出よう。


青白い発光に照らされた鍾乳洞にあってここの美少女ちゃん銅像のある神殿だけ木漏れ日のように洞窟の天井から光が指している。


きっと外に繋がっているのだろう。


銅像を越えてタイチは神殿の奥へと歩く。

裏に回ると明らかに人為的に作られたような石が階段上に並べられていた。


これなら上に行けそうだ。

苔むしたそれを滑らないように気をつけながらタイチは上がった。


「眩しい、そして暑い! 」


照りつけるような太陽の光、それに続いて感じたのは肌に空気が纏わりつくような湿気た熱気だった。


「むかし、行ったガァム(グアム)を思い出すぜ」


山の中腹のようで、そこから見下ろす限り、地平の彼方まで続く、緑、緑、緑。


ジャングルを思わせる大森林がそこにはあった。


姿は見えないが確かにそこには何者かの無数の気配を感じさせる。

鳥だが、獣だが、虫だが、スライムがいるくらいだ、モンスターもいるかもしれないのは奇っ怪な音と音が重なり独特の不協和音を奏でている。


タイチは下へ降りれないかと覗く。


巨大な岩々が階段状に重なり、長年の放置されたのか草木が生い茂り、頑張れば、なんとかできそうになくもなさそうたが、出来れば勘弁願いたい。


上も見上げてみるが、断崖絶壁となっていて登れそうにはない。


戻るか、体を振り返る。


おっ、


美少女ちゃんの銅像がある洞窟の入り口とは別にもう一つ洞穴があるみたいだ。



折角だから、見に行ってみるか。


洞穴は山をくり抜いたような、人為的掘られた通路のようで、タイチがギリギリ屈まなくても通れ程度の高さがあった。


通路を抜けた先には覆い茂った草木の数々、そしてそこには見慣れた黄色く反りが入った実がなる木が生えていた!


これは日本でも見慣れた、果実であるバナナだ!


緑色やすでに黄色くなっている房が沢山ついている!


タイチは、千切ってバナナのそれと同じく皮を剥くと白い実が顔を出した。


どう見てもバナナだ。

匂いを嗅ぐ、家でいつも食べるバナナの香りだ。


腹が早く寄越せと音を鳴らして煽ってくる。しかし一抹の不安を拭えないタイチは、「スライム鑑定2th」とスキルは発動させる


【これはスライムではありません】


脳内に情報を読み取り、これはスライムじゃない!

つまりバナナだ!とタイチは、かぶりついた。


甘い!

日本で喰うバナナと一緒だ。


腹が減っているだけかもしれないがスーパーで買ってきたバナナよりもうまいかもしれない。


タイチは2,3本と掻きむしってバナナを両手で持って頬張る。


バナナは栄養価が高い。食糧問題はひとまずこれで解決だな。



まぁ腹を壊したら、それはその時考えよう。


口いっぱいにほおばったバナナを嚥下したのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「んっぐ、んっぐ、んっぐ、ぱあーああああああ」


なんとか落ち着いたな。


手の甲で口元をぬぐう。


まぁあれだろ、鍾乳洞の水ようは湧水みたいなものだろう?


山がろ過してくれているから大丈夫だろう。【スライム鑑定2th】でも【これはスライムではありません】って出てるしなと、青白く発光するくり抜かれてプール上になった岩の中の水を飲んでみたのだ。


軟水で美味しかったです。


腹をくだしたら、しょうがない。その時考えよう。


それよりもだ。


神殿の奥への探索も終わり、食料も水も一応確保できた。


つまりやることがない。


所謂ニートだ。


ああ漫画、ネット、ゲームが恋しい。


「……………しょうがねぇやるか」


タイチが唯一出来ること、それはスライム精製のスキルだけだ。


あとはスライムかどうか鑑定するスキルと???が並んだ図鑑を眺めるぐらいしか出来ない。


それに試してみたいこともあるしな。



「よし、やるか」


右手を前に出し、瞑目して集中し、


「スライム精製!」


気合を入れてスキルを発動する。

すぐに右手の中に魔力の塊のようなものが出来てきて徐々に質量を伴っていくのが分かる。


それと同時に自身の何かが吸われていく感覚。


きっと吸われているのはファンタジー的に考えればMPか何かだ。死にはしないだろう。


前回はその感覚に恐怖し、途中でやめてしまったが、今回は限界まで吸わせてみることにした。


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


叫びに自身を震わせ、だんだんの血の気が引いていく恐怖に耐える。


そして、――――魔力の塊がバレーボール大になり、右手が溢れ出してきた。


まだぁ!とタイチはさらに力を籠めようとするが、突如として起こった貧血のような立ち眩みに思わず片膝をついてしまう。


魔力の塊が右手から零れ落ちた。


ぼとんっという確かな重量を帯びたそれはスライムとなって誕生した。


「はぁはぁはぁはぁ、しんどいっ……………でもやったか」


脂汗が浮かぶ額を手の甲でぬぐい見たスライムは明らかにベビースライムよりも大きかった。


ベビースライムが祭りの釣り糸でひっかける水風船ぐらいだとしたら、これはバレーボール大だ。


「スライム鑑定2th」


すかさずスライムチェックだ。


すると、


【スライム】

図鑑NO:002

スキル:吸収(体内に取り入れたものを分解し、吸収する)

スキル:擬態(吸収したものの特性を形成することがある)

特性・属性がないノーマル系の稚スライム。

ここから派生することもある。


002きたぁああ!!!!

ノーマルとは言え新たなるスライムだ!


やはり想像は俺の想像は当たっていたようだ。

MPたぶんを量によって精製したスライムの成長具合を制御できるのだろう。


しかもベビースライム、スライムと来ているし、稚スライムとある。

もしかして魚で言うところの出世魚みたいに成長具合によって呼び名が変わる類のものじゃないだろうか。

したら、次の003ももらったも同然だ。


まったくなんたる攻略スピード、さすが俺だ。


これなら美少女ちゃんの封印解除もすぐだな。


「はっははっははははっは」とタイチの笑い声が鍾乳洞にこだまするのだった。



「ふっふふ、自分の才能が恐ろしいよ。さぁスラオ一思いに喰らえ!」


タイチがそういうとスラオは犬が尻尾をブンブンふるかのごとく歓喜に身を震わせ、生まれたばかりのスライムにのしかかった。


スラオが身をダンゴムシのように丸め、鍾乳洞の中をぐるぐると周り、やがてピタリと動き留めた。


スラオの膨らんだボディーにポコッと穴があき、まるでゲップするようにぷしゅーと息を吐きだした時、それは起こった。


目を焼くような強烈な光。


「ああっ、いつ見ても美しいな」


光の収まった先、まるで雲の上に立っているような不思議な空間。


赤銅色に染まった地平線の間にいる陽光と空を切り取ったような金髪碧眼の美少女ちゃん。


その空のように綺麗なブルーの瞳がいまは切なげに潤んで、「ああん」と悩まし気な嬌声をあげる。


「すごっ、い。もう2つ目の封印が、中に、入ってくるぅううううううううう」


美少女ちゃんがなんだが、ものすごい叫び声を上げると体が光に包まれ、ばぁーん!と盛大な音を立てて、岩の一部が吹き飛んだ。


「……………はぁはぁぁ~。こんなに短期間とは、予想外でした」


目尻に涙を薄っすらと涙を浮かべながらも、優しく微笑む美少女ちゃんは最高に可愛かった。


また岩の弾けた個所は今回は右肩だ!白磁のように白い肌が眩しい!!


「いやいや、俺にかかればこんなもんだよ。すぐに封印を解いてみせるよ」

「ふっふふふ、頼もしい限りですね。ところで、」


美少女ちゃんの瞳がちらりとタイチの下腹部のさらに下へと向けられる。


「せめてスライムでも纏ったらどうですか? まぁそのままでも私は構いませんが」


それにつられてタイチも視線を追うと、まぁなんということでしょう。

マイリトルよりちょっと大きくなったサンが見えるじゃないですか。



「―――きゃっあ! ススススス、スラオ!カモン!」


マイサンを手でおさながらも叫ぶとどこにいたのか、スラオが体にまとわりついてきた。


これで一安心だ。


「へっへ、し、失礼しました」


「いえ、それよりも」と美少女ちゃんは気にした風もなく(ちょっとショックだ)続けた。


「スラオというのは?」

「ん? ああっ、スライムだと味気ないからさ。名前が必要だと思って名付けたんだ。……おかしかったかな?」

「名前……ですか」

それに美少女ちゃんは一瞬逡巡するように青い瞳を逸らすが、すぐにこちらを見直した。


「いえ、素晴らしいことだと思います。よかったですね、スラオ」と美少女ちゃんは微笑んだ。


そう、名前と言えばまだ美少女ちゃんの名前を聞いていなかった。この流れで聞いてしまおう。


「そういえば、あの君の―――」

「―――えっ、分かっていますよ。タイチ」と美少女ちゃんが遮る。


「勿論、封印解除の褒美として、新たなる慈悲を与えます」

「いや、それもそうなんだけど、俺は君の―――」

「―――では、タイチ。また会いましょう!」とこちらの話を聞かずに愛嬌のあるウィンクを飛ばして、今回も邂逅は光に閉ざされてしまった。



光が収束すれば、そこはもうあの青白いひかりを放つ鍾乳洞だ。


「今回も聞けずじまいか」と独り言ちながらタイチは早速美少女ちゃん銅像へと向かった。


美少女ちゃん銅像の周りには肩の岩だろう、が飛び散っており、右肩にエナメル質の肌が見えている。


ありがたや~ありがたや~とタイチは確かめるようにそこを触った。


「汝に新たなるスキルを与える」


美少女ちゃん銅像は目を光らせながら(このエフェクトいらねーだろ)、新たなるスキルを授けてくれた。



【スライム鑑定3th】だ。


嬉しいねー。嬉しさに目に汗が浮かんでくるほどだ。


「スライム鑑定3th」


【原初のスライム】

図鑑NO:000

スキル:スライム喰極

スキル:擬態・形成限界+突破  

外より来たりし原初のスライム。

ありとあらゆるものを飲み込みその特徴を吸収し、顕現させる。

その食欲は星すらも喰らってもまだ収まらないとされる。


あれっ、脳内に流れ込んでくる情報に変化がない!これじゃ2thの時と一緒だと、タイチは適当なものに手をかざしてスキルを試す。


すると、


いままでは【これはスライムではありません】とだけ鑑定できたものに新たなる情報が加わっていた。


【ユミルのストーンプール水】

※これはスライムではありません。

ユミル山脈より湧き出た水、その一滴一滴が石を削りやがて水たまりとなったもの。

豊潤な魔力を有し、そこからスライムが生まれイヅルことがある。


おおっ!これはまさか、

ほかにも試し見る。



【ユミルの結晶石】

※これはスライムではありません。

ユミル山脈が持つ魔力が結晶化し岩と化したもの。

豊潤な魔力を有し、そこからスライムが生まれイヅルことがある。


やはりそのまさかだった!

流石3thにもなると格が違うようだ。


今までスライムしか鑑定出来なかったが、スライム以外恐らくはスライムに関連する物限定で鑑定が効くのだろう!


そうそうこういうのだよ、こういうチュートリアル的なものが欲しかったんだ!と手当たり次第に新スキルを試していくのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スラオ保持スキル

スライム喰極

擬態・形成限界+突破

吸収




スライム図鑑 2/151

美少女ちゃん封印解除まであと149種。





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