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スライムマスター   作者: ロータス
3/24

第3話 一つ目の封印解除!

「あの~」


なにやら声が聞こえる。


覚醒と夢の狭間、あやふやな微睡みの中で、タイチは瞼の裏に強い陽光を感じていた。


もう、朝なのか。


そう思ったが、


「もう少しだけ~」



タイチは眩しい陽光を避けるように体を半身うつ伏せにする。


「……震えなさい」


その声に呼応するようにタイチの下半身に貼り付いたスライムことスラオが鳴動を開始する。


「ひゃあっ!ナニを、あふん、らめぇスラオ止まれ、ストップ!あっあっ、待て」


その衝撃にタイチは意識が一気に覚醒し、飛ぶように身を起こした。


「スラオ!バイブレーションはやめろと言っただろ!まったくもう」


タイチは陽光をさえぎるように腕で翳しを作って周りを見渡す。


どうやらここは鍾乳洞ではないようだ。


青い空と白い雲がオレンジ色に染まっていく黄金のように輝く黄昏時、大地と化した空の地平が何処までも続いていくような壮大な空間にいた。


ここはまさか。


「まったくはこちらのセリフですよ。私との邂逅を寝て過ごすとは前代未聞です」


響く澄んだ、まさに鐘の音のような声色。美少女ちゃんの声だ!


「まぁいいでしょ。一日で第一の封印を解くとはお見事です。新たなる慈悲を与えましょう」


新たなる慈悲、新スキルかなにかだろう。


どうせスライムなんちゃらとかだろう、そんなスキルよりも!


「お、俺の名前は須賀 タイチって言います!」


叫ぶように名前を言うと、美少女ちゃんはニッコリと微笑んだ!


そうするとかなり可愛い!元からして可愛いのだ、笑顔は可愛さ1000%だ。


「覚えておきましょう。須賀 タイチ」


「タイチでいいよ。ってそれよりも教えてくれ、君の名前を―――」


「―――ああっ、時間のようです。あなたがいけないんですよ。貴重な邂逅の時を寝て過ごすから。ではまた会いましょう」


期待してますよ、タイチ。と、最後美少女ちゃんが愛嬌のあるウィンクした時、再び空間を光が支配した。


眩い光も一瞬、収まったときには青白い光を放つ鍾乳洞にタイチはいた。


結局美少女ちゃんの名前は聞けずじまいか。

まぁ次の機会に聞くとしよう。


そういえば美少女ちゃんは一日にして1つ封印を解いたと言っていたな。


いつだ? 解いた記憶のない封印。


一体どうやって美少女ちゃんの封印は解けたんだ?


その疑問を解消すべくタイチは体に巻き付くスラオに語りかけてみる。


「スラオ、なにか知らないか?」


ふるふると、知らないとばかりに身を震わせる。


「そうか……ときにスラオ、昨日俺が生み出したスライチがいないんだが、何処にいるか知らないか?」


ふるふると、知らないとばかりに身を震わせる。


「知らないか。でスラオ、昨日より体積が増えてないか?若干重いぞ」


ふるふると、――――


「―――しらばっくれんじゃねー!!お前が食ったんだろうが、スライム図鑑、オープン!」



図鑑を参照すると、これ見よがしに、図鑑001 ベビースライム(済)と情報が分かった。


美少女ちゃんは言っていた。

封印解除するには門となるモンスターに鍵を有したスライムを与えよ!と。


門とはスラオのことで、鍵を有しているというのは図鑑に乗っているスライムのことだ!


つまり、


「スライチを勝手に食いやがったな!おまえ、共喰いだぞ!しかもあんなに可愛い赤ちゃんを、この畜生が!」


タイチが怒鳴りつけると、スラオは萎縮したように身を震わせ体から離れる。


そして、べたっーと鍾乳洞の床に体を広げた。


最初はなんのつもりだ!と激高していたタイチであったが、鍾乳洞の肌寒さがだんだんとタイチの頭を冷やしていった。


それと同時に思い出す。


これはあれだ。


むかし飼っていたポチも怒られるこうしてくぅ~んと鳴きながら腹を見せて降参のポーズをしたものだ。


それに似ているとタイチは思った。


スライムに腹があるかどうかは分からないけど。


まぁいつまでも怒っていて仕方がないか、それにスラオのおかげで封印解除の方法も分かったことだし。


「たくっ、しょうがねぇーな。次は勝手に食べるなよ」


とタイチがぶっきらぼうに言うとガハッ!とスラオがしなだれかかってきた。


まったく調子のいいヤツだ。


するりと下腹部へと纏わりつくのを確認して、タイチは美少女ちゃん銅像へと足を向ける


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



美少女ちゃん銅像が置かれている神殿につくと銅像前に何やら岩のようなものが散乱していた。


色や形からしてどうやら美少女ちゃんを封印しているとかいう岩のようだ。


「あっ!」


岩で全身を覆われている美少女ちゃん銅像、腕は頭上で吊るされているかのようにクロスしており、そのうちの右腕の前腕部分露出していた!


顔と同じくエラメルのようなテカリを見せている。


きっと顔同様にスベスベなんだろうなと触れてみると、


「汝に新たなる慈悲を与える」と目をかあっ!光らせながら、美少女ちゃん銅像は有り難いことにスライム鑑定2thを授けてくれた!


ありがとう美少女ちゃん、これでよりスライムを詳しく鑑定出来るよ!


嬉しさに涙が出そうだぜ。


「スライム鑑定2th」


タイチはスラオに向かって試してみた。


【原初のスライム】

図鑑NO:000

スキル:スライム喰極(食したスライムのスキルを完全にコピーする)

スキル:擬態・形成限界+突破(形状を記憶し、得ることのできたあらゆる物質の完全再現、属性相克を無視)  

外より来たりし原初のスライム。

ありとあらゆるものを飲み込みその特徴を吸収し、顕現させる。

その食欲は星すらも喰らってもまだ収まらないとされる。


なんと脳内に流れ込んでくる情報にスキルが追加されている!

やったね、スキルを事前に鑑定できる。相手がスライムならな!


悲観はさておき、スラオのスキルだが、普通に考えたらチート級だよな。

なにせ2つしかスキルがないが両方ともにカンストしている。


スライム喰極はまんまとして、気になるのは擬態・形成+突破とかいう奴だな。

これは見るからにチート級だ。

属性相克とかいうのは良く分からないが、あらゆる物質の完全再現が悪いわけがなかろう。

得ることの出来たという一文が気になるが……………試してみるか。


「ほらっ、スラオ。美味しい石だよ。食べてごらん~」


タイチは手短にあった石をスラオに与える。

スラオは腰に巻き付きながらも石を飲み込み……………そして、ぺっとまるで唾を吐き出す様に石を放り出した。


「スラオ……………今の石だ。石になってみろ。スキル:擬態・形成限界+突破だ!」


タイチがそういうとスラオは身を震わせ、ぷっくりと体の一部を含まさせた。


石にも見えなくはない。


つんつんとつついてみると、指が沈み弾くような程よい弾力。


やっぱりだめか。


タイチは諦めずに再チャレンジしてみる。


「スラオ……………わがままだめだ。これを食べるんだ!」


タイチが再度石をスラオにかざすが、スラオは触手のように体の一部を伸ばすと鞭のように振るい弾いた。


石が飛んでいき、鍾乳石に石のぶつかる音が反響した。


スライム喰極なんて持っているぐらいだからスライムしか食べないのかもしれない。


全くスライムのくせに偏食の奴だ。


ぐぅうううう~とタイチの腹も音をたて、俺にも食わせろと胃が主張する。


まずは食事だ。


考え事は飯を食った後にしよう、そう思いタイチは神殿の奥を目指した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スラオ保持スキル

・スライム喰極

・擬態・形成限界+突破



スライム図鑑 1/151

美少女ちゃん封印解除まであと150種。


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