近未来のカーナビ
これで短編九本目、カブですよ旦那
ついに未来は来た、色々あって自動車の自動運転は許可されなかったが、運転のアシストなら認可された
そして今日取り付けたカーナビは、なんと人工知能搭載!更に正確も選べる最新式だ!
「さあどんな正格のカーナビにしようかな?女性型なのはもう決まってるが……」
【気弱な正格】
「そうだな、最初だし優しい正格の……ないな、ならこの気弱な正格からいってみようか」
モニターから選択すると、画面に垂れ目の女の子が映りだした
『初めましてマスター、初めてですが精いっぱいナビさせてもらいます、至らぬ点があっても…叱らないで…叱ら…ヒック、ヒック…』
「わー、叱らないから、叱らないから泣かないで」
なんでいきなり泣きそうになってるんだ?正直面倒くさい
ほぼ無意識にモニターの設計ボタンに手が伸びる
「ひっ!…チェンジですか?私要らない子ですか?…グスン、ヒック…」
「ち、違う違う、行き先を設定しようとしただけだよ」
ボタンに触る前に言われた、もしかしてこっち見えてるのか?
「あの……もしかして俺見えてる?」
「え?あっはい、運転のサポートシステムとも連動してるのでドライブレコーダー越しからマスターは見れます……なんかチョロそうな顔ですね、詐欺には気を付けて下さい」
「チョロくないよ!あーごめん泣かないで、大声出してごめんって」
「ヒック…ヒック…あの…それで行き先はどちらにしますか?」
「え?」
「え?」
あっ、さっき咄嗟に行き先決めるとか言ったっけ、えーと何処にしようか……この子なんかアレだし近場だな近場、よしっ
「一番近いファミレスまでルート設定出来る?」
「はいっ、ここから一番近いファミリーレストランはダストですね、所要時間15分の予定です」
笑顔で言う彼女、そうそうこういうのが欲しかったんだよ、泣かせなきゃ大丈夫そうだな
「じゃあ出発」
と言ってもダストまでの道はさすがに知ってる、次の信号で左折だな
「あの…次の……です」
なんかボソボソとナビが言い出した?
「え?はに?」
「次の…信ご……つです」
音量小さいのかな?ボリュームはっと……あっ信号通りすぎた
「あっ」
「あ…………ごめんなさぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃいい」
「うるせぇぇぇぇええ!」
音量上げてたせいで大音量の謝罪がガガガ
「ビエーン」
ウィーンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン
うわーウォッシャーとワイパーが勝手に動き出した
「ごめん泣き止んで、大丈夫、大丈夫だから」
見えん!前が絶えず吹き出すウォッシャーと高速で動くワイパーで見えん!とりあえず路駐だ
5分後ウォッシャー液が無くなるまで彼女は泣き続けた
「……落ち着いた?」
「はい、もう涙は枯れました」
枯れたのはウォッシャー液だけどね
「ナビ……出来る?」
「大丈夫です、もう私には失う物なんてないですから」
苦笑するナビ、いやウォッシャー液が全てなの?誰だよこんな人格設定したの
「じゃ、じゃあしゅっぱーつ」
「次の信号を左り曲がって下さい」
「あっハイわかりました」
思わず敬語で応える俺、だってモニターの顔、目からハイライト無くなってるんだぜ
ファミレスに着いた俺が人格設定ボタンを押したのは悪くないと思う
だって水溜まり踏んだら
「あはっ私……汚れちゃいました」
赤信号で止まったら
ブツブツ「いっそ……このまま……」
子供が歩道を歩いてたら
「あの子達も大人になったら、私みたいに汚れるのでしょうか」
全て目からハイライトが無くなってる顔で呟くんだぜ、重いわっ!
【元気っ子】
もう泣き虫は嫌だ、おっこれとかいいな元気っ子
「こんにちはーマスター!」
前回の事もあるし、念の為ボリュームを下げてたんだが、普通の音量だった
モニターにはショートカットの女の子が元気な笑顔で挨拶している
「こんにちは、さっそくで悪いけどキングゴリラまでナビしてくれるかな?」
「1番近くのでいいんだよね?うーんとね、30分くらいで着けるよ、あとウォッシャー液が空みたいだね」
「あー、ウォッシャー液は前の子が使い果たしたから…」
「そうなんだごめんね、でも悪い子じゃないから許してくれたら嬉しいかな」
申し訳なさそうに謝るナビ、ええ子や
許すとも!でも二度と選ばない、あの子は俺には早すぎる
「気にしてないから大丈夫だよ、それより出発だ」
「わーい、僕走るの大好き」
僕っ子か、製作者分かってるじゃねーか!そう元気っ子は僕っ子だよな!
「あれ?いつもより加速する」
「ふふーん、それは僕がサポートしてるからね」
おおー!車の性能まで上げるのか、性格もいいしこの子は当たりだな
……なんか熱くね?げっ、クーラーが切れて送風に、そして何故か熱風が吹き出してる!
「えっなんでクーラー入らないの?」
「クーラーなんか入れたらパワー落ちて気持ち良く走れないから切ったよ」
「ちょっ何してんの?なら窓を……開かない」
「空力狂うから窓開けるの禁止ね」
アカン(アカン)前の子は精神的にキツかったけど、この子は肉体的にキツい、ナビ切らなきゃ死ぬる
と思ってたらいきなり減速した……いや元のエンジンパワーに戻った
「マスター……お腹空いた」
「いやいやいや、昨日入れたばかりだぞってホントだ!」
ガソリンメーターがレッドゾーンだ
「お前なにをした」
「燃焼効率とかを燃費度外視パワー重視にして、常に高速回転でトルク取れるようにしたぐらいかな?」
「……勝手にニトロとか入れなかっただけ褒めてやる」
「あーあったら入れてたね」
ナビを切ってガソリンスタンドへ直行した、店員が汗だくの俺を不思議そうに見てたが知ったこっちゃない!
【お姉さん】
安西先生……俺……癒やしが欲しいです
諦めろよ、と言われようが3度目の正直に期待して選んだのは
お姉さん!
それ性格のタイプか?とも思ったが、兄しか居ない俺には憧れの属性である
さぁポチッとな
「あなたが私のマスター?ふんっ、豚で十分ね」
あ、もうハズレの予感しかしない
「返事はどうした豚野郎」
「えええーーーー」
「返事はどうしたか聞いてるのよ?」
「あーはい、ごめんね、これ返品するからじゃーねー」
もう付き合ってられない、明日、いや今日今から返品しに行こう
「隠さなくてもいいのよ、あなたドMでしょ?」
「はっ?な、なに言ってんのお前」
「ここは密閉されたしゃない、あなたが ドM でも、誰も気付きはしないわ」
「ちげーし、俺はストレートだし」
「お黙りっ!」
「あんっ」
え?なに?今ビリッとした
「ちょっと座席を漏電させてあげたわ、素直になるお薬よ」
「あ、危ないだろ!運転中だぞ!」
「私がサポートするから大丈夫よ、本当は自動運転も出来る使用だしね」
「や、止めろ、俺はドMなんかじゃない!」
ハァハァハァハァ
「あらまだ認めないの?ならお薬を」
ゴキュっと喉が鳴る、これは電撃に耐えるために力を入れてるからだ……ハァハァ
「……」
「……あの……お薬は?……ハァハァ」
「返事をしたらあげるわ」
「返事?」
「あなたは豚よね?なら返事は」
その日一匹の豚が生まれた、そして一つのカーナビがリコールされた、だが……そのカーナビはネットで高額取引されることになる
世界中のマニアが、やっぱりあの国は未来に生きてると評する伝説のカーナビに
ぎりぎりセウト




