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暗闇の宴  作者: 蒼目ハク
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我が子

 産婦人科を後にした私は、高揚していた。

 明日からヒールのない靴を履かなくちゃ。階段も気をつけて降りよう。

 医師からの祝福の言葉を何度も反芻する。

「おめでとうございます。六週目に入ったところですね」

 私は微笑み、まだ膨らみのない腹をそっと撫でる。身篭った途端、母親としての意識が高まる。

 ようやくできた命。私と彼の愛の結晶。きっと彼は、全身全霊で歓喜してくれるだろう。

 なかなか子供ができなくて毎日泣いてばかりの私を、彼は懸命に慰めてくれた。今度は彼が、父親になった喜びで泣いてしまうかもしれない。


 自宅に着いた私は、早速夫に妊娠の報告をする。

 夫は驚きの声を上げて私を抱きしめた。「よかった」と、涙声で繰り返す。そして、膝をついて私の腹に優しく触れ、耳を当てて声を掛ける。

「パパですよ」

 私は、そんな夫を見下ろしながらほくそ笑んだ。

 我が子と信じて他人の子を慈しむ夫が、哀れで滑稽だった。

我が身に宿る女性は我が子と確信できるが、男性はそうではない、というのをテレビでやっていたので……。

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