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恋人くん

作者: 雪太郎

雨が降ると、私は貴方を思い出すの。好きになったのは貴方の方で、私は貴方が私に夢中だったから付き合ってあげた。そんな感じで始まった私たちの付き合いは、私にとっては熱過ぎないぬるま湯のようで心地よかった。けれど、貴方にとっては熱すぎる熱湯だったのかしら? だって貴方はよく泣いていたもの。貴方はよく私が貴方を捨てるのではないのかと不安になるって言ってたわね。私はいつもそんなことはないと、貴方をなだめていたけど、本当は私も二人のお別れの気配を感じていたの。私は、貴方が泣くのが嫌いだった。差別かもしれないけれど、あの時私は男が泣くというのが好きではなかったの。でも今はそれが違うってことに気づいたけれどね。私は泣く男が嫌いだったのではなく、きっと貴方を愛してはいなかっただけ。私は寂しくて寂しくて、貴方を利用してしまった。貴方が私と別れてから、何年もそれを引きずって今でも誰とも付き合ってないと聞いたわ。貴方の青春の一ページを無駄にしてしまってごめんなさい。だけどね、私はもし過去に戻れるとしても、きっと貴方の優しさを利用してまた貴方と付き合うと思う。貴方には申し訳ないと思ってる気持ちもある。しかしそれと同時に「いい気味」って思う気持ちだってあるのよ。だって貴方は私の何を見てたっていうの?貴方だって私の見た目に心奪われただけじゃない。そんなの本当の愛というのかしら。今になったら、貴方が私を本気で愛していたかどうかなんてどうでもいいわ。だけどね、これだけは知っていて欲しいの。確かに私は貴方を本気で愛してなかったかもしれない。けれど二人の思い出は私の中に、不純物を全く含まい結晶のように綺麗に大切に保管されているの。それは私が誰と付き合っても変わらなかったわ。きっと貴方の心の綺麗な部分が私の心の中で生き続けてるのね。だから自信を持って前に進みなさい。目を覚ましなさい。自分を本気で好きでもなかった人の事を引きずるほど無駄なことはないわ。貴方ならきっともっと素敵な恋ができる。そして今度は貴方が泣いたら、一緒に泣いてくれる子を探しなさい。雨が止み始めたわ。だからもうこれが本当のさよならよ。もう貴方を思い出したり心配したりしてあげないから。さよなら恋人くん。そしておやすみなさい。

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