第6片 「run against」
大変遅くなりました(>_<)
これから頻繁に更新致します
今回は長くなります(汗
楽しみに待ってくださった方、
お気に入りしてくださった方、
本当にありがとうございます!!!!!
とても励みになります(^○^)
run against は邂逅という意味です
照り返す太陽の下、私達は馬車に揺られていた。
「さすがに長いなあ」
「仕方がありませんよ、ミュラ様」
あれから馬車に乗り、港まで行き船に乗り、また馬車に乗って…。
私達がハンバレン国を出て3週間が経とうとしていた。実はハンバレン国とアカシア帝国は近隣国同士というわけではない。まあ、ハンバレン国か海に囲まれた国だからなんだけど。到着までにかなりの時間がある。
「セシリア、あとどれくらいなの?」
「確かもうすぐですよ。ほら、見えてきました!!」
セシリアの指差す方向を見ると、そこには果てしなく続く緑の中にそれはあった。数キロ離れたここからでも目にはっきりと映った。ここからでも見える巨大な宮殿は複雑な細工を施されていて、一目でアカシア帝国がどれだけ栄えているかが窺える。
「あれが、アカシア帝国の王宮殿【グロリオサ】ですね。あそこにミュラ様のお相手がいらっしゃるのですね」
優しい声音と裏腹にセシリアの顔は厳しいものだった。ついてきてはくれたけど、やはりまだ納得していないのだろうか。
「セシリア…」
私はセシリアの頬に手を添えた。すると、セシリアは目を見開き気のせいだろうが頬を少し赤く染めた。
「…ミュラ様?」
そんなセシリアの鼻を指で押して豚の鼻のような感じにした。
「ぶっ…間抜けな顔」
「……っ」
先ほどまでの落ち着きはどうしたのか、みるみるうちに顔を茹で蛸のように真っ赤にして私を睨み付けた。
「ミュラ様!!!何してくれてるんですか!?」
「いやあ、ちょっとした出来心で」
「何浮気の言い訳みたいな台詞言ってるんですか、全く!!!さっき感じた一瞬のときめき返して下さい」
「ゴメン、ゴメン。まさかときめいてたとは夢にも思わなくて」
「ミュラ様は美しいんですから頬に手を添えられたら、私みたいに耐久性のないものは鼻血噴き出しますよ」
いやいや、美しくなんてないし。って言おうとしたけど余計に何か言われそうだから苦笑だけして聞き流すことにした。
「帝都に入りました」
前方から馭者の声がした。もう国内に入っていたことにも驚きだけど、私は窓のカーテンの隙間から見える光景に目を見張った。そこは、私が居た都からは想像出来ない程の溢れんばかりの人、人、人。しかもアカシア帝国は私達ハンバレン国のように海に囲まれているわけでもないのに、異国の商人達が軒をそろえている。
私はこれまでにこんな沢山の人が居るのを見たことが無かった。みんな楽しそう…商人たちだけじゃなく国民たちも沢山居て、本当に豊か何だと思い知らせる。
ハンバレン国も豊かじゃないわけでは無いけれど、少し前までは酷い時代だった。セシリアの話によると、先々代の王の時からアカシア帝国は安定しているらしい。南の帝国と呼ばれるようになったのは、現国王が即位して瞬く間に領地を広げていったからだけど、国を安定させるのは難しい。性格がどうかは知らないけど、きっと王としては相応しい人なのだろう。
「……ラ様、……ミュラ様!!!」
セシリアの呼ぶ声に反射して私は顔を上げた。
「何?」
「王宮殿に到着しました」
私はセシリアを見返して、ニヤリと悪戯っ子のように笑みを浮かべた。
「さあ、会いに行きましょうか旦那様のもとへ」
少しだけ、ほんの少しだけ私は現国王に会うのが楽しみに思えた。
…あれ、まだ対面できなかった。
というわけで次回run against 2で
ルードビッヒと邂逅するわけなんですが
作者も心配です。ルードビッヒがどんな
王様か期待?予想していてくださいっ
読んで下さりありがとうございました!!!