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カタクリ  作者: Anemone
4/12

第4片「seeyou」


更新大変

遅れてすいません(>_<)

4話目です。

兄様が帰ったあと、少しの間だけ石を眺めて荷造りの続きに取りかかった。翌日も休むことなく荷造りを続け、ハンバレン国皇女としての仕事を終わらせたりで

気づけば出発当日になっていた。



「あれから、陛下や殿下と話してないな…。」



いけない、私は首を振り気を引き締めて椅子から立ち上がった。そして寂寥感を帯びた表情で告げた。



「ミュラ様?」

「セシリア、しばらく1人にしてほしいの」

「…分かりました。では出発時刻にはお迎えしますね」

「ありがとう」


セシリアは私を気遣いながらも足早に部屋を出た。



「なーんてね」


私はセシリアの足音が消えるのを聞くと、ベッドの下に隠していた侍女の服を取りだし、すぐに着替え来ていたドレスはベッドの下に潜り込ませた。そしてクローゼットの奥から黒いカツラを取り出してかぶった。



「これでよし」



鏡の前で一回転をして確認すると正々堂々とドアから出るわけにはいかないので部屋の窓から飛び降りた。※注意、ミュラの部屋は三階



「っと、んーまずはどこから行こううかしら?」


侍女の服を着ていたお陰で、他の侍女や兵士にバレることなく城を出て町を下りることができた。



「よし、最初は市場ね」



早速私はこの国で一番大きな市場へ行くことにした。相変わらず和気あいあいとした国民達。



「おお、そこのお嬢ちゃん!!!新鮮な魚だよ買ってくかい?」

「取れたて果実がお買い得だよ!!!」


私は思わず笑みがこぼれるのを感じながら見てまわった。



「きゃっ」

「わっ!?」




よそ見をしていたせいで、誰かにぶつかってしまった。相手を見ると簡素なワンピースで地面に尻餅をついている少女がいた。



「大丈夫!?」



思わず私は手を差し出して、少女を引き上げた。


「はい…大丈夫です」

「ごめんなさい、よそ見していて」



ふと周りを見ると、少女の持っているカゴからぶつかった拍子に飛び出ただろう花が地面に散らばっていた。


「これ…売り物よね?ぶつかったせいで、キレイな花をごめんなさい」



急いで私は花をかき集めて、少女に渡した。


「いえ、大丈夫です」


少女は小さく微笑むだけだったけど、落ちた花を売れるわけないわよね。



「そうだ、この花全部私が買ってもかまわないかしら?」

「えっ!?いやそんな悪いですよ」

「良いのよ。ぶつかったお詫びもあるけど、丁度花が欲しかったの」

「…本当にいいんですか?」

「ええ、お願い」

「はい、ありがとうございます!!!」



少女はぱあっと表情を明るくすると、カゴからリボンを取りだし花をまとめてくれた。



「ありがとう!!!」

「あ、はい。こちらこそ!!!」



私は少女に手を振ると、花束を片手に街の外れの小さな森へ向かった。森は薄暗く足場が悪かったけど、私は気にせず奥へと進んだ。すると視界が開けその先に小さな広場が現れる。



「久しぶりね」


私は広場の中央へ行き、そこにある真っ白な墓石の前で立ち止まった。



「ごめんなさい、一度落ちた花たちだけど受け取って?」



そっと花束を墓石の前に置き、しゃがみこんだ。墓石に刻まれた忘れもしない名前を指でなぞりながら、話しかけた。


「聞いて。私ねお嫁に行くのよ、お嫁に。意外すぎて笑っちゃうでしょ?」



どうかあなたに届きますように。


「しかも南の帝国ですって!!!きっとたくさん側室を抱えているんでしょうね」



それでも構わない。いや、そうでなくては困ってしまう。


「そんな所に行ってしまうのよ。きっと二度とこの国には帰って来ない。少しは妬いてくれてかしら?」



私は立ち上がり、きた道を戻ることにした。けど、一度だけ立ち止まり振り返らずに呟いた。



「愛してたわ」



さようなら、さようなら。




***


森を出て、街に戻る途中でセシリアに見つかってしまった。



「ミュラ様!!!」

「げっ…」

「突然居なくなるとはどういうことですか!?私の寿命を縮めたいんですか?いえ、もうそうとしか思えません!!!」



鬼の形相でやって来たセシリアは何者よりも恐ろしかった。



「ごめんごめん。すぐ帰ろうとしたのよ」

「貴方のすぐはすぐじゃないですか。…もう驚かせないで下さい」


セシリアはひどく心配したようだ。私が逃げるわけないのに、いやきっと私が逃げたいと言えば逃がしてくれるのだろう。ただ私が逃げないから側に居てくれる。



「ありがとう、セシリア」


私は笑顔を向け、そう告げた。セシリアは何故か目を見開き赤くなると、俯いてた。



「い、いえ。当然の事をしたまでです」

「そう。…セシリアもう出発の時間かしら?」


私の言葉にセシリアは弾かれたように顔を上げ、いつもの侍女の顔つきになった。



「はい。少し降りた先に荷物を乗せた馬車を用意してあります」

「ありがとう、それじゃあ行きましょう」

「え、陛下や殿下への挨拶はよろしいのですか?」

「大丈夫よ、昨日で挨拶は済ませたし。お二人共公務で忙しいのだから」



私が我が儘を言ってはいけない。





「母様への挨拶はしてないけど、きっと分かってくれるわ」


するとセシリアは微妙な顔をした。



「王妃様が黙って見送るとは到底思えませんが…」

「さすがに娘が嫁いだ先に乗り込むような真似はいくらなんでもしないと思うわ」

「そう…ですよね。あ、ミュラ様急いで馬車へ向かいましょう!!!」

「そうね、行きましょう」



私達は馬車の方へ駆けた。


「セシリア」

「は、はい」

「これからもよろしくね」

「…っはい、もちろんです!!!」




ハンバレン、さようなら。


この日、私達はハンバレン国を旅立った。


読んでいただき

ありがとうございます!!!

誤字脱字ありましたら

こっそり教えて下さいっ


本当に指摘、感想

待ってます(^o^)

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