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【完結】全知の書庫アカシックレコードの継承者  作者: 刻彫
第一章 『囚われの金髪姫』
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第19話 『告白と沈黙』

 レイヴェルの目は赤く潤んでいた。

「……僕、君ともっと一緒に遊びたい」

 盤上で負けを認めた少年が、まっすぐ僕を見て告げる。


 だがその次の言葉は、思いもよらぬものだった。


「だから――結婚しよう! 僕だけのお姫様になって!」


「……っ!? け、けっこん……!? お、お姫様っ!? な、なに言って……!」

 

 僕は思わず素っ頓狂な声を上げた。


 恋にも友情にも似た告白を飛び越えて、いきなり結婚。

 勇者と魔王の血を引く少年の口から発せられたそれは、冗談でも戯れ言でもなく、本気そのものだった。


 胸の奥がざわつき、思わず口を開く。

 本当のことを言わなきゃ――僕は女の子なんかじゃなく、男なんだって。


 けれど――。


《――発言禁止。この関係は未来において不可欠な縁です》

《あなたが男であるという事実を告げれば、この縁は失われる》


 脳内に響く無機質な声に、喉が凍りついた。

 言葉は声にならず、ただ唇が震える。


「おいおい、ラマティ。モテるじゃねぇか」

 ダンがにやにやと肩を揺らし、笑い声をあげる。

「女の子に泣かれて告白されるとか、絵に描いたみてぇだな」


「……悪くない光景だ」

 イザナも口の端を上げた。だがその目はどこか、鋭く僕を見抜こうとしていた。


 僕は俯き、心臓を抑えた。

 ……違うんだ、僕は女の子じゃない。でも――言えない。言わせてもらえないんだ……。


 アクレイアが紅茶を置きながら、穏やかな声で言った。

「縁というのは、不思議なものさ。偶然のようで必然であり、時に未来を変える力を持つ。――大切にしなさい」


 その言葉に、アカシックレコードの声が重なる。


《――あなたの未来に必要な縁。保持を推奨》


 レイヴェルは僕の手をそっと取った。

「こっちにおいで。君に見せたい場所があるんだ」


 その手の温もりに導かれ、僕は別の扉をくぐった。


 ――瞬間、目の前に広がった光景に息を呑む。


 壁一面に鏡が張り巡らされ、天井からは金細工のシャンデリアが輝きを放っている。

 部屋の中央には着飾るための円卓、その周囲には色とりどりのドレスやリボン、宝石の散りばめられたアクセサリーが所狭しと並べられていた。

 金糸や絹で仕立てられた服は、どれもがまばゆい光を帯び、鏡に映り込みながら僕を取り囲んでくる。


「……ここは……?」


「衣装の間だよ。王族や貴族が舞踏会で着る服が集められている」

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