プロローグ 『始まりの火種』
※本作に登場するイザナは、『殺し屋上がりの生命魔法使い』のイザナとは一応……別人物です。
ただし、世界線は同一となっております。
何年も前から少しずつ書き溜めていた作品のため、拙い部分も多いかと思いますが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
※初投稿なので、かなり読みにくいです。
夜の帳が降り、奴隷小屋の外れに小さな焚き火が燃えていた。
空き瓶に残ったわずかなラム酒を回し飲みし、葉巻のように丸めた大麻を順に吸い込む。
アジア系の黒い長髪を垂らした奴隷イザナ。
大木のような体躯をした屈強な黒人の少年ダン。
そして、やせ細り、髪も伸び放題の気弱な少年ラマティ。
三人はみな、能力を持たぬがゆえに村や国から追放され、奴隷に堕ちた者たちだった。
彼らにとって、月に一度のこの時間だけが、唯一のささやかな楽しみだった。
「けっ、こんな国でも平和って言うんだから笑えるよな。魔王が生きてたら、一発で吹っ飛んでただろ」
イザナが煙を吐きながら鼻で笑う。
「でも勇者が倒したから平和なんだろ?」
ダンが酒瓶を掲げ、どんと一口。
「しかもよ――魔王を嫁にしたって噂だぜ? 英雄はやっぱ違うよなぁ!」
「……え、えっ……嫁……? そ、それって……政略婚、とかじゃないの?」
僕は小さく肩をすくめ、指先をいじりながらおずおずと口を開いた。
「……いや、魔王を孕ませたって話らしいぞ。戦でも勝って、女でも勝ったってやつだ」
「マジかよ!」
ダンが腹を抱えて笑う。
「勇者さま、やることがえげつねぇなぁ!」
「……そ、そんなの……ひ、人としてどうなの……? ぼ、僕なら……絶対無理だよ……」
イザナとダンが顔を見合わせ、次の瞬間、同時に吹き出した。
二人の笑い声に混じり、ラマティも思わずつられて笑みを浮かべる。だがそれは震えるように弱々しく、焚き火の影に掻き消されそうなものだった。
やがて酒と煙の匂いに沈むようにして、ラマティの意識は途切れていった。
★★★
ラマティ(Ramati)
・年齢:15歳前後
・性別:男(中性的で女と間違われやすい。ただし現在は汚れと痩せ細りで本来の姿は隠れている)
・外見:
黄金色の髪は油と泥で黒ずみ、ぼさぼさに伸び放題。
本来は宝石のような水色の瞳も、曇って虚ろ。
白いはずの肌は垢と煤で黒ずみ、骨ばった虚弱な身体「ただ生きているだけ」という印象の奴隷少年。
所持スキル
・なし(未覚醒)
アカシックレコードの存在はまだ“夢の囁き”としてしか現れない。
状態・デバフ
・虚弱体質(極限)
・大麻中毒
・アルコール依存
・奴隷の身分
・視力不良
人間関係
・イザナ:東の国の奴隷、辛辣だが頭の切れる仲間。ボードゲームの相手をしてくれる。結核に似た症状を抱えており、咳と血痰を繰り返す。
・ダン:豪快で優しい兄貴分。笑いで場を和ませる存在。
・ラマティ:二人に守られる末弟ポジション。弱いが、場を和ませる小さな冗談や気遣いはできる。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
本作は第8話から大きな転機を迎え、主人公ラマティが新たな姿を見せることになります。
もしよろしければ、ぜひ8話までお付き合いいただけると嬉しいです。
ここから物語はさらに動き出しますので、応援していただければ励みになります!




