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帰還の日まで  作者: アイスティー
第一章 メロン王国
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第五話 収集

レモン姫はフードを深く被って宿に入っていた。

宿の中には薪が燃える暖炉、机の周りを走る子供たち、そして集まってにぎわう大人が視界中から入ってくる。

サンミ王国と故郷を一つしか跨いでいないのにこの国の人は安全な暮らしをしていると思うとレモン姫はほっとした。

情報収集をしにレモン姫と護衛兵はひとまずカウンターに行った。


「すみません、二部屋一泊お願いしたいのですけれど。」

レモン姫がそういうとカウンターの人はリストを確認し、即座に対応してくれた。


「二部屋一泊ね。一人、五十エキスだよ。」

エキスとはブルーハワイ諸国連合で使える通貨のことだ。

過去百年を見ると、今は通貨がとても使われるようになっている。

そして国や地域によって使える通貨は異なる。

レモン姫の故郷のサンミ王国はグレフル国王が発展のために導入したフルクという名前の通貨がある。

レートとしては一エキスで三フルクほどだ。

異国人は気を付けなければいけない。

物価の違いや勘違いでのぼったくりが他国の人に対してとても多い。

通常、サンミ王国での宿屋は百四十前後フルクのため、五十エキスは少し高いほうだ。

だが問題ない。端にいたとき姫はメロン兵から六百エキスほどもらっている。これを使えば王都まで乗り切れるだろうということだ。


金額の支払いに乗じて姫は質問する。

「今の王のご様子はどんな感じでしょうか。」

少し積極的すぎたかもしれないと思った。


カウンターの男性は疑う様子なく話してくれた。

「王都はサンミ王国が帝国にやられたことで議論してて混乱状態さ。」

王に会いに行くのなら明後日がベストらしい。

これだけの情報で満足はしていないが、レモン姫はその思い瞼を開けたままにするのが困難になってきていた。

鍵を渡され、護衛兵におやすみというと自分の部屋の鍵を開けた。


ドアが開いた瞬間、ぶわっと甘い香りが漂う。

国中こうなのだろうか。

姫は部屋に入るとベッドの上にのし上がり、仰向けになって寝ていた。

ここずっとまじめだった彼女の顔が崩れ、涙があふれ出てきた。


「父さん…私これからどうすれば…」

誰もいないところで弱みを見せる。

王国を取り戻すと決心したが、彼女にはとても重い目標である。

ひっくり返り、顔を枕にうずめた姫はそのまま朝を迎えた。

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