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帰還の日まで  作者: アイスティー
第二章 海を渡る姫
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第十一話 変更

姫たちは城の外へ出ると遠い港町を見下ろしていた。

城の裏を背に、広大な地を見ていた。

港町まではクロスパタンと同じくらいの距離があるだろうか。

豆粒のような船が行き来し、町並みは白く輝いている。

フルタス湖に面しているあの港からならば、モモ王国に渡ることができるはず。

姫たちは港町の方向、北に向かった。

城の位置する丘を下り、最後使われたのがいつかわからない橋を慎重に渡った。


今にもメロン兵が追いかけてくるだろう。

どうせなら、あの大臣が嘘な理由をでっちあげて姫を王殺しに仕立てて国中に姫を捕まえるよう指名手配犯にするだろうと四人とも思っていた。

ならば隠れて船に乗り、国を出る。

そこは特に問題ないのだが、姫にとって一番不都合で腹立たしいのは、自分たちに仲間が加わるどころか敵が増えたということだ。

そしてあの大臣の顔。

私が王を殺しましたと言っているような顔だったと誰でも納得できるであろう。


港町までの直線から少し西に外れたところに街がある。

歩けば二、三時間ほどでつくだろう。

姫たちは今丸腰だ。

あの町で食料の類を手に入れたほうがいいかもしれない。

港で船に乗るには金が必要だろう。

食料と金、どちらもあの町で手に入れておいたほうが良い。


四人は川と垂直に、街を目指して進み始めた。

しかし姫とはぐれていた二人の護衛兵が思い出した。


「あれリョクミスの街ですよ。

証明がないと入られてもらえないんですよ。」

彼らは彼らの身に起こった経験をありのままに姫たちに話した。


「あの街は飛ばしたほうがよさそうですね。」

姫は悩みこんだ。


姫といた三人目の護衛が口をはさんだ。

「あのような大きな街ではなく、道中の小さな村によるのはいかがでしょうが。」


彼の言いたいことがわかると姫はそのアイディアを評価した。

「小さな村なら指名手配も届かないだろうし、入るために証明もいらないということですね。」


ほかの二人も納得してうなずく。

そうして四人は道中、村がないかを探しながら進むこととなった。

港町まで続く一本の土の道路。

これをたどって行けばあの港にたどり着けるはず。

風にゆらゆらと揺れる草を見ながら姫たちは走り出す。

一分一秒でもこの国から出たい。

そのためには捕まらないことが絶対だ。

追ってくるメロン兵が何人いるかはわからないが、捕まらないためにはなるべく急いだほうがいいだろう。

国全体が彼らを追っているような状態なのだから。

列になって土の道を駆ける。

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